2011 Fiscal Year Research-status Report
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23652028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
酒井 たか子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40215588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUSHNELL Cade 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (30576773)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 落語 / 笑い |
Research Abstract |
落語は日本独自のユニークな話芸である。背景もない舞台で手ぬぐいと扇子だけを使い、多くの人を演じ分けストーリーを運ぶ。そこには人間の普遍的な「業」と個々の文化的背景による相違点がある。本研究は、日本文化のエッセンスが凝縮されている落語を聞いて、日本語学習者がどのように理解しているかを測定する方法を考える。1.調査材料の作成と分析 2011年11月に筑波大学大学会館和室において日本語上級レベルの留学生約20名を対象に上方の林家染雀師匠に落語に関する講演および落語会、ワークショップを開催した。複数のカメラ、およびICレコーダーを用いて合計6時間の調査材料を作成した。2012年1月には同様に柳家さん喬師匠に約50名を対象として講演会および落語会、ワークショップを開催し、同様に4時間の映像・音声の調査材料を作成した。また、同時に日本語学習者を対象に理解度を分析するための映像データおよび音声データを収集した。音声データは文字化も進めている。本調査材料を利用して、会話分析等の手法を用いた分析を進めつつある。2.落語における理解の仕方の方法の研究研究方法として、アンケートによるもの、ビデオ録画を利用した分析、日本語学習者の音声データの分析、音声で聞いた登場人物の特徴から、そのイメージを絵に表してみる方法、ストーリーの中から印象に残った場面を選び出し4コマの絵にする方法など様々なアプローチを試みている。これらの組み合わせにより、ブラックボックスであった「理解」がどのように引き出せるかについて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究材料の作成に関しては、計画通り進めることができた。高い技能を持つ東京と大阪の落語家2名に、外国人日本語学習者を対象にして4日間計10時間に及ぶ落語に関する講演、落語会、およびワークショップを開催し、質の高い映像と音声の研究資料作成を行った。現在、それらを利用して会話分析等の観点から、順調に検討を進めている。 外国人日本語学習者の落語における「笑い」を理解するために必要な基礎知識、条件に関しては、今年度は日本語能力が上級である学習者を対象として、学習者の聞いている場面の映像音声をデータの収集を行うことができた。調査研究を進めた。見るための落語の「笑い」に関しては、文献資料を中心に情報を収集している。 落語家から、演者として聞き手をどのように意識しているか、聞き手との相互のやりとりをどのように行っているか、場の雰囲気をどう作るかなど専門的立場から多くの情報を得ることができた。 外国人学習者の共感や理解度を適切な形で引き出すための方法に関しては、音声、映像の利用や絵で示させる方法など、広く可能性を試しつつある。 以上の理由により、当初の計画はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成23年度で収集したデータの文字起こしを行い、会話分析を進める。外国人学習者を対象に理解についての詳細なインタビューやアンケート調査を行い、同時にその他の調査の可能性も探る。2.今年度は笑いを理解するためことに関して、特に文化的な側面に焦点を当てる。ノンバーバルな面としてはしぐさや表情など、日本独自の文化的背景に影響を受ける面としては、死生観、人間関係、動物の擬人化などに注目する。落語に現れる典型的な場面や状況からのどの程度理解できるか、また笑いを引き起こす要因は何かについて検討する。3.研究資料を作成するために、平成23年度と同様に、江戸落語と上方落語のベテラン落語家を招聘し、講演会、落語会、ワークショップを開催し映像および音声材料を作成する。4.外国人のプロの落語家(カナダ人)、長年海外で外国人対象に落語会を開催した経験を持つ落語家を招聘し、日本人と外国人の理解や笑いの相違等について、専門的な情報を得る。5.研究成果を8月の日本語教育国際研究大会(名古屋大学)において、パネルディスカッション、ほか研究発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.日本語学習者に対する理解の分析 中級および上級の日本語学習者を対象にインタビュー調査、アンケート調査を行う。(謝金)2.研究材料の作成 ベテラン落語家による落語会、ワークショップを開催し、文化的な側面に合わせた研究材料の作成を行う。(謝金、文字おこし、およびビデオ撮影・編集)3.専門家を招いて会議を開催し、提供を受けるとともに意見交換を行う。4.日本語教育国際研究大会(名古屋大学)において、パネルディスカッション形式の研究成果発表を行う。(研究代表者、研究分担者、研究協力者の旅費)なお、今年度は、資料作成のうち一部の文字化の作業が遅れたため、来年度に繰り越しとなっている。なお、平成23年度の収支のうち次年度使用額が374967円となっているが、このうち204,360円は平成23年3月中旬に旅費等として執行終了しており、会計処理が時期的に間に合わなかったために次年度に繰り越される形となっている。
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