2012 Fiscal Year Annual Research Report
訪日外国人旅行者の日本国内文化施設における芸術消費に関する調査研究
Project/Area Number |
23652032
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
安藤 美奈 東京芸術大学, 美術学部, 講師 (70532498)
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Keywords | アートマネジメント / 文化施設 / 博物館・美術館 / 訪日外国人旅行者 / 芸術消費 / 消費者行動 / インバウンド / 観光 |
Research Abstract |
本研究では、訪日外国人旅行者(以下、旅行者)の日本国内文化施設(以下、施設)における芸術消費の実態と、施設側の現状との比較検討を通して、観光要素として求められる要件を抽出し、マーケティング・コンセプトとして取りまとめることを目的とした。研究期間には、東日本大震災、尖閣諸島をめぐる摩擦など予測できない事態が発生し、本研究に関わる観光分野のリスクを再認識する機会となった。 最終年度の平成24年度は、前年度の研究成果を踏まえ、主に施設に対する調査を実施し、2年の研究期間を通して、アジア圏の旅行業界及び訪日旅行経験者に対する実態、施設の現状を調査し、旅行業者および外国人の視点に立った施設の魅力と問題点、旅行者の施設での芸術消費の状況、施設の旅行者に対するアプローチなどを把握した。これら研究の成果として、現段階において次の点を指摘する。1.旅行者の施設の訪問頻度、認知度は低い。2.訪日旅行形態は、個人ではなく団体旅行が主流であり、その旅程に施設は組込まれていない。3.旅程に組込むための条件には、自然風景の鑑賞や買い物など他の観光行動との組合せが可能であること、知名度が高いこと、所蔵品数や建築など施設に特徴がある、日本の文化歴史が紹介されている、などが挙げられる。4.施設の認知度の向上が急務であり、対象や媒体を選定し適切な広告活動を行うことが必要である。 訪日意向の醸成には、具体的なツアープランを提案し、施設を含めた多くの観光要素を積極的に紹介することが効果的である。幅広く日本の芸術文化を紹介し、旅行者に対して施設の訪問や芸術文化を体験する機会を提供することは、観光施策に資するものであり、その場となる施設の課題の一つでもある。以上のような研究の成果は、施設のマネジメントの向上だけでなく、施設周辺地域の誘客戦略、さらには今後の観光政策やマーケティングの議論を深める、意義のあるものと考える。
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Research Products
(1 results)