2011 Fiscal Year Research-status Report
バレエにおける音楽と舞踊~三領域協働によるバレエ・リュス作品に関する実践的研究~
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23652043
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
糟谷 里美 昭和音楽大学, 音楽学部, 講師 (70266245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川染 雅嗣 昭和音楽大学, 音楽学部, 教授 (10204728)
鈴木 二美枝 昭和音楽大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (40442123)
高橋 健一郎 札幌大学, 外国語学部, 教授 (80364206)
豊住 竜志 昭和音楽大学, 音楽学部, 准教授 (20227656)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 音楽と舞踊 / バレエ・リュス / エジプトの夜 / ミハイル・フォーキン |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初頭にバレエにおける音楽と舞踊の関係性に新機軸を拓いたと考えられるバレエ・リュスの作品の音楽と舞踊に焦点を当て、作曲学、舞踊学、音楽史の三領域に渡り、多角的にバレエにおける音楽と舞踊の分析を行ない、実践的検証を包含しつつ複眼的に音楽と舞踊の関係性について検討することを目的としている。 本年度は、バレエ・リュス(1909-1929)の振付家ミハイル・フォーキンの初期作品≪クレオパトラ≫(1909)とその元となったバレエ≪エジプトの夜≫(1908)に着目し、≪エジプトの夜≫の音楽とバレエの成立背景と≪クレオパトラ≫への展開をみることで、音楽と舞踊の関係性について検討した。また、用いられた楽曲であるアレンスキーのバレエ音楽≪エジプトの夜≫(1900)についても、バレエ的側面からその特徴を検討した。さらに、作曲的側面での実践的分析を行なうために、ピアノ独奏用に編曲された楽譜を原曲に近いオーケストラ用楽譜へ再編曲した。 その結果、第一にアレンスキーのバレエ音楽≪エジプトの夜≫が、チャイコフスキーやグラズノーフら当時バレエ音楽の作曲において成功を収めていた作曲家の身近な影響をを受けて作られたものであったため、フォーキンにとって振付・演出の容易な題材であったと推察された。第二に、バレエ≪エジプトの夜≫がフォーキンのバレエ改革を試みるための最適な作品であったことが考察された。第三に、バレエ≪エジプトの夜≫の改訂版であるバレエ・リュスの作品≪クレオパトラ≫は、興行師ディアギレフの戦略のもと成功を見たが、その音楽はアレンスキーを含むロシア人作曲家の楽曲の寄せ集めであり、主役も女優に任せ、一時的には人気を博すものの再現されることのない作品となってしまったことがわかった。その理由として挙げられたのは、「現代性」の喪失だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、バレエ・リュスおよびミハイル・フォーキンに関する資史料・楽譜・写真の収集、研究対象とする作品の選定、作品の成立背景と展開について調査研究を行なうことを主として研究を進めた。 本研究の研究者のほとんどが、音楽史に関する豊かな資史料と実践的資料および設備を備えた音楽大学を研究拠点としているため、資史料の収集を堅実に行なえたことが、順調な研究推進につながったといえる。また、ピアノ用に編曲された楽譜からのオーケストレーションが完了し、次年度に予定している楽曲分析および舞踊分析のための準備が整ったといえるだろう。 しかしながら、研究結果の中には、推測の域を出ないものもあるため、今後海外での現地調査も視野に入れたさらなる調査が求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、より実践的な検証を中心として、次のように研究を進めていく。 第一に、バレエ≪エジプトの夜≫について楽曲分析および舞踊分析を行ない、その結果を踏まえた再現演奏および再現上演を実施していく予定である。 第二に、バレエ・リュス初期のフォーキン振付の他の作品(具体的には≪レ・シルフィード≫を取り上げる)に注目する。これは前述の≪エジプトの夜≫と同様に既成曲を用いた作品であるが、楽曲自体はバレエ音楽ではない。そこで、≪レ・シルフィード≫についても、≪エジプトの夜≫と同様の調査研究を実施し、これら2つの初期作品の音楽と舞踊の様相を比較検討することで、音楽と舞踊の関係性について何らかの示唆を得たい。 第三に、これらの作品が作曲家、振付家、舞踊家、劇場との関連において、音楽史上どのような特性をもつか探っていく。 第四に、これらの研究成果を社会に発信していくために、学術雑誌への論文投稿およびシンポジウムの開催を予定している。これにより、調査研究により得られた知見と実践との有機的な結びつきが可能となる。さらに本研究によって、音楽と舞踊に関連した学校教育や社会教育等を含む多方面での応用が可能となる知見を導き出していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)楽譜および資史料の収集 810,000円 【内訳】バレエ・リュスのプログラム@62,000円×10冊=620,000円、ショパンおよびアレンスキーの楽譜@5,000円×10冊=50,000円、バレエ・リュスに関する書籍(和洋書)@3,000円×20冊=60,000円、バレエ・リュス写真資料(和洋書、絵葉書等)@10,000円×5点=50,000円、楽曲および舞踊分析のための書籍、論文等 30,000円(2)シンポジウム、学会等のための旅費・学会参加費等 @45,000円×5名=235,000円(3)シンポジウムの開催 242,000円 【内訳】電子オルガン演奏関係の謝礼@30,000円×6名=180,000円、ピアノ調律代@21,000円×2台=42,000円、ホール賃貸料 @20,000円(4)海外現地調査 550,000円(5)その他 3,977円
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Research Products
(1 results)