2012 Fiscal Year Research-status Report
イギリス映像文化の変遷ー1980年代からの公的映画政策、市場変化と作品の変容
Project/Area Number |
23652044
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河島 伸子 同志社大学, 経済学部, 教授 (20319461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 信良 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233139)
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Keywords | イギリス映画 / 映画政策 / 文化政策 / 芸術政策 / 英文学 |
Research Abstract |
初年度も含めて何度か研究会を開催し、その成果を早速、河島伸子・大谷伴子・大田信良編著「イギリス映画と文化政策」(慶應義塾大学出版会)の形で出版したことが最大の成果である。研究会としては入れたかった章が抜けたり、逆に後から依頼した章などもあり、必ずしも本研究計画通りのものではない。しかし、研究開始以前から他の場所で報告等がなされていた章の土台もあったため、この段階でまとめて世に問うこととした。 当該書籍のまえがきにもあるように、本書は本研究計画の中間報告的位置づけにあり、今後は、イギリスの映画政策の中身のさらなる分析と検証が必要と思われる。特に代表者自身は、序章に概論を執筆し、さらに分析的な章をもう1つ書く予定であったが、出版計画が先行したため、これを次の機会に延ばすこととした。 次年度以降は、さらに国際的ネットワークを広げ、イギリスにいる映画政策研究者との交流を深めていきたいと考えている。昨年度、イギリスでロイヤル・ハロウェイ・カレッジのジョン・ヒル教授と面会したことは特に大きな意義を有する。ヒル教授からは、International Journal of Cultural Policyの特別号として、イギリスに限らず、世界のいくつかの国の映画政策の国際比較をする企画を作るべきだという提案が来ている。 この提案を受け、代表者は、2012年12月には国立台湾教育大学にて、さらに2013年1月に韓国ソウルで開かれた小規模の文化政策国際比較会議において、日本の映画産業と政策に関する報告を行った。どちらも予想以上にアジアの研究者たちから関心を集めることができ、イギリスから始まった研究をアジアに広げ、つなげていくことの意義を大いに感じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果として述べたように、先に一応まとめる形で書籍が刊行されたため。もっとも、研究目的の中でカバーできていない部分もある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の書籍においてカバーできなかったイギリスの近年の映画政策の分析を一層深め、論文として発表したい。また、今年度は社会学の研究者、海外の研究者と交流を深める機会を持ち、複眼的にイギリス映画政策を見ていきたい。 また、イギリスのみならず、日本の映画政策についても理解を深め、発信していくことも、本研究における国際的意見交換に役立つので、それを進めたい。International Journal of Cultural Policyに映画政策の国際比較をする特集号を組む準備を進めることも大事な目標となってきた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、研究会開催経費、旅費、書籍の購入にあてる。
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