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2011 Fiscal Year Research-status Report

在仏『北斎漫画』解読と、ギメ、オルセー両美術館蔵「日本関連文献」の総合的研究

Research Project

Project/Area Number 23652072
Research InstitutionKyoto City University of Arts

Principal Investigator

柏木 加代子  京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (10128689)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords北斎漫画 / 日仏研究者交流 / ジャポニスム / ニース・シェレ美術館 / パリ・ギメ美術館 / パリ・オルセー美術館 / ルーヴル美術館
Research Abstract

研究代表者の「挑発的萌芽研究」の課題である「在仏『北斎漫画』解読とギメ・オルセー両美術館所蔵の日本関連文献の総合的研究」は、ニ-ス図書館主任司書であるMaryvonne Pesteil氏から、フランス文学に多年従事している研究者として、研究代表者に直接依頼された『北斎漫画』全15巻の裏扉その他に見られる墨筆記述(手書きの文字)の解読と翻訳することを約束して、その目的の遂行のため、まずパリ・ギメ美術館とオルセー美術館が温存する日本関連資料の詳細調査を実施し、翻訳(仏訳および和訳)を行い、堅実にして信頼のおける翻訳文献として後進に残すための挑戦的萌芽研究である。 最も興味深いのは、今回ニース・シェレ美術館から依頼のあった『北斎漫画』15冊が、1856年頃、エッチング画家のF.Braquemondが彼の作品の印刷者Delatourの店で出会ったとして、ジャポニスム研究において伝説化された『北斎漫画』であった可能性も否めないことである。さらに日本文化に関する資料の存在を既に確認済みでしていたこともあって、研究代表者が学芸員とも多年の学芸的往来によって信頼関係が築かれている、パリ・ギメ美術館とオルセー美術館の日本関連の未整理文献について解読と翻訳を遂行し、新たな知見の発掘に寄与するための準備をパリの上記美術館の学芸員と行った。 1928年に開設されたニース、シェレ美術館が所蔵する『北斎漫画』15編15冊については、1935年に、ヴィタ男爵から寄贈されたヴィタ・コレクションの収められているものである。そして、このヴィタ男爵の経歴には、彼がジャポニスムの最盛期にその生涯をおくり、ジャポニスム伝説の発端として考えられている『北斎漫画』に重要な役割を果たすBraquemondが、彼の最も親しい友人の一人であったことなど、本課題にとって重要な事実にみちていることが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

小学館の復刻版『葛飾北斎初摺北斎漫画』と比較しながらの調査であったが、小学館版がその底本をすべて初版に取ったということで、比較の結果はきわめて興味深いものとなった。じっさい初摺であっても、初版にはあってはならない一般の読者のための説明文(同上初版20頁)が見られ、第5編では初版1回のみにある誤った表記(「御息所」のかわりに「葵上」同上296頁)が指摘されているが、今回の調査においても「御息所」に訂正されている。しかし又逆に、初摺にもいくつかの版が存在した可能性は否めない。第11編の表紙の子供が書いている文字(通常は青)は初版に準じて黒一色となって、これは初摺である可能性が高い。第12編に関しては、既に「綻び」(同上684頁)の項で注目したが、「風」の項(同上690-691頁)には、後に書き加えられた波紋はない。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究として、まず着手しなければならないのはニース美術館蔵の『北斎漫画』の歴史的由来である。『北斎漫画』をヴィタ男爵が「どのようにしてこれら全15編を入手したのか」、「いつ頃のことであったのか」など、全15編に各々の歴史を設定しながら、入手時期と経路に照準を当てなければならない。また、「見本刷」である第15編が発行されるのは、1878年パリ万国博覧会(5月1日~11月10日)が開催される1878年の9月1日(1877年8月31日版権免許)であることから、当時パリを席巻していたジャポニスムとの関連性を考えると、あるいは第15編が、その期日に間に合うことを考えて、見本刷りのままでも、とにかくパリに送ることが急がれた結果と想定することも可能だが、その実質的調査は今後に期したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度は、定年2年前と言うことで雑務に追われ、ニースとパリでの4日間の研修期間をすべてを『北斎漫画』の分析に費やし、その成果も多かったが、4日間という短い時間であった為、研究が中途半端に終わり、再度の渡仏を余儀なくされた次第である。 次年度は、ニース美術館での研究と併行して、当該研究の拠点を『北斎漫画』および北斎に関しての諸々の肉筆の資料を保管しているパリのエコール・デ・ボザールの資料館に移し、すでにそこでの閲覧及び研究許可を得ているので、当館の資料の分析を集中して行う。 次年度に前年度の研究費を持ち越したのは、夏休みを利用して長期滞在を行い、パリの各美術館の主任学芸員たちとの意見交換を行い、日仏合同の研究を遂行し、もし可能であれば、それらの成果を、「在仏『北斎漫画』に関してのシンポジウム」で発表することも視野に入れた研究費の使用を計画している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] ニース・シェレ美術館蔵『北斎漫画』についての調査報告2012

    • Author(s)
      柏木加代子・飯倉洋一
    • Journal Title

      京都市立芸術大学美術学部・研究紀要

      Volume: 第56号 Pages: 79-82

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Flaubert et le japonisme2011

    • Author(s)
      Kayoko Kashiwagi
    • Journal Title

      《Les voyages de Flaubert》, Bulletin Flaubeert-Maupassant

      Volume: No 25-2010 Pages: 107-129

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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