2011 Fiscal Year Research-status Report
日本人チューターと中国人・韓国人留学生のミスコミュニケーションとその回避
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23652112
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
堀尾 佳以 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10513880)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 韓国 |
Research Abstract |
研究の大きな柱2つのうち、「チューター制度の活動実態」を明らかにするとともに、制度を利用した留学生の要望をまとめ、今後の課題を洗い出した。平成23年度に行った3つの調査の結果は以下の通りである。(1)活動実態と留学生の要望のギャップ:留学生にインタビューやアンケートを実施し、チューターにどのような要望があるのかをまとめ、活動報告書と比較した。チューター制度の必要性は9割の留学生が実感しており、日本語・日本文化への要望が実態よりも高いという事が分かった。(2)チューターが困った事・驚いた事:日本語による問題で、ミスコミュニケーションがあったかどうかを調べたが、実際にはほとんど出てこなかった。留学生とチューターの人間関係は、良好であっても本当の友人になるのは難しい事、異文化に驚くことはあってもお互いに受け入れ、良い関係を保つ努力をしている事が明らかになった。(3)チューター活動報告書分析:これまでチューター活動の実態を把握したものが殆ど無かったので、報告書とフォローアップインタビューから分析する。本研究は、以上3項目の調査を留学生・日本人チューターに実施し、チューター制度への要望を明らかにした点で新しい。また、双方の認識や制度の活動実態調査からも、現状と要望の開きについて示すことができた。調査結果より、チューター選定時の留学生の要望確認と、チューター教育の必要性を実感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度に計画していた主な調査のうち、インタビュー調査は50%程度、活動実態調査は75%程度を実施した。これらの調査結果をまとめ、国際学会での口頭発表を行い、他大学の担当者とも意見交換を行なうことができた。また、学会発表から更に練り上げたものをまとめて論文とし、国際学会誌に応募し、掲載されることが決定した。インタビュー調査が遅れている原因:所属大学、前任校および協力者に依頼し、自然談話録音資料の収集を進めている。しかし、本研究の対象となっている中国・韓国の留学生に調査協力を依頼しても拒否される事がある、という根本的な問題が出て来た。インタビュー対象者から協力を拒否される大きな理由として、「チューターとほとんど会った事が無い」「チューターに会いたくない」など、人間関係が築けていない事があげられる。つまり、「留学生とチューターの基本的な人間関係が出来上がった上での調査」を前提としていたが、それ以前の問題が出てきた。活動実態調査が遅れている原因:留学生、日本人チューターへの個別インタビューを実施し、ある程度の成果を得る事はできた。しかし、チューター制度で報告書提出が義務付けられているが、各大学内部資料のため協力者に依頼しても実態の把握は難しい。以上のように、現時点では若干遅れが出ているが、平成24年度にはより一層精進して研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、インタビュー調査を最優先事項とし、結果を順次学会などで発表していく。チューター活動実態活動に加え、もう一つの大きな調査である留学生と日本人チューターのインタビュー結果も加えた結果を公表していく。インタビューの促進:調査を断られるという事態を受け、現在の対象大学だけでは目標数を集めるのが難しくなってきた。そこで、協力を求める大学を拡大し、そこでも調査を実施する。活動実態調査:留学生と日本人チューターへの個別インタビューだけでなく、活動報告書も対象とする。あわせて協力者への依頼もしていく。学会での発表:平成23年度末に提出した国際学会発表の採択が既に決まっている。今後の結果も加えて他の国際大会や、日本国内の学会でも発表を重ね、留学生担当者との貴重な意見交換も行なう予定である。論文執筆:学会や留学生センター紀要への寄稿など、これまでの研究結果を論文の形にして発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な支出予定:インタビュー調査で収集した自然談話録音資料を、文字化する作業に謝金を支払う。特に、24年度は調査するペアを増やす予定である。その他:学会発表のための旅費を使用予定である。
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Research Products
(2 results)