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2012 Fiscal Year Research-status Report

エスノレクトからみる日本の多言語社会化

Research Project

Project/Area Number 23652119
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

藤井 久美子  宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (60304044)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 安田 敏朗  一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (80283670)
寺尾 智史  神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (30457030)
Keywordsエスノレクト / 日本語学 / 移民言語への視線 / 台湾 / 韓国 / アメリカ / 南米
Research Abstract

本研究では、次の2点を取り組むべき課題として設定した。
まず、一つは、海外での「エスノレクト」という用語の使用やその背景にある多言語社会状況について分析を行い、日本への紹介的役割を担う、というものである。これについては、平成24年度は、連携研究者の金が、韓国とアメリカに赴き、外国人の言語的支援状況とその支援を受けている外国人の言語状況について調査した。対象は移住者など、主として長期的に韓国・アメリカに滞在する外国人である。金の調査からは、生活支援の一環として行われている言語支援の状況とこれらの公的支援がいかに当事者に活用されているのか、またはどのような問題点を残しているのかを知るための手掛かりとなる資料が得られた。研究分担者である安田は、近代以降の日本語に対する学問のあり方を問い直す作業を継続して行った。もう一名の研究分担者である寺尾は、昨年度、南米のボリビアとペルー、欧州のルクセンブルクとオランダで調査した結果をまとめ、博士論文の中にも含めて、よりいっそう、考察を深めている。
設定した課題のうち、残る1つは、日本における多言語社会の問題をエスノレクトの視点で考察することの可能性であるが、こちらについては、研究代表者の藤井が、日本の中の一地方都市である宮崎の若年層に対してアンケート調査を行い、外国人が話す日本語に対する意識を調査した。アンケートの作成にあたっては、中国人・韓国人に対しての反応と、欧米系の言語を母語とする話者への反応とを分けて調べた。年度末に結果が得られたので、詳細な分析は次年度に行うが、両者に対する反応には差があることがうかがえる。
平成24年度は全員が集まるミーティングは行わなかったが、設定した2つの課題に沿って、各自が研究を進めることができたと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究が設定した取り組むべき課題は次の二つである。
①海外での「エスノレクト」という用語の使用やその背景にある多言語社会状況について分析を行い、日本への紹介的役割を担う。
②先行する「エスノレクト」研究が対象とした多言語社会の問題を、日本ではどのように考察することが可能か、中国系、韓国・朝鮮系、ブラジル系それぞれのコミュニティでの日本語状況を検討しつつ考察する。
平成24年度は、これらのうち、①については、安田、寺尾、金が、②については、藤井と安田が、前年度の成果の発展や新たな視点での調査などを含め、それぞれに研究を進展させることができた。特に、研究代表者である藤井は、②の視点を拡大し、ホスト社会の側にある日本人はエスノレクトをどのように考えるのか、この点について、エスノレクトという用語は用いてはいないが、若年層に対して調査を行った。日本における多言語社会の問題をエスノレクトの視点で考察することの可能性をさぐるためには、日本人の規範意識なども考察する必要がある。こうした点に新たに取り組めたことは有意義であった。日本国内のコミュニティに対する研究はまだ十分に進展しているとは言えないが、別の視点からの研究が進んでおり、したがって、おおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

共時的視点からの分析を担当する藤井、寺尾、金は、国内も含めて、引き続き各コミュニティで調査を行い、「移民」の中の言語状況(日本における日本語を含む)の実態を明らかにすることを目指す。また、平成24年度末に新たな視点として加えたホスト社会側の意識についても考察を深め、日本の多言語社会化をエスノレクトの視点から分析することは可能なのかについて一定の結論を見出せるよう努力する。通時的視点からの分析を担当する安田については、これまでの日本への移民言語の記述のあり方を探ることとする。通時的視点からの考察が、現在の日本国内の状況を分析するのに必要であると考えられた場合には、メンバー全員で台湾などに調査に赴くことも念頭に置いている。
平成25年度は最終年度であることから、これまでの研究成果について、できる限り、国内外の学会・研究会などで発表を行うように努める予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費は、総括に向けて必要な関連書籍や、また、補完的調査に必要な機器の購入などにあてる予定である。旅費は、メンバー内で再度の海外調査が必要になった場合や、国内外での学会発表の際などに使用する。人件費・謝金は資料の整理などで使用の予定である。その他としては資料のコピー代や報告のための書類作成などが挙げられる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 「アラゴン言語法」のゆくえ2013

    • Author(s)
      寺尾智史
    • Journal Title

      スペイン語世界のことばと文化 講演録2012年度

      Volume: 2012 Pages: 全13ページ

  • [Presentation] 近代移行期における日本語学の成立

    • Author(s)
      安田敏朗
    • Organizer
      ワークショップ「近代移行期における東アジアの自国語認識と自国語学の成立」
    • Place of Presentation
      仁荷大学韓国学研究所
  • [Book] 言葉のなかの日韓関係 教育・翻訳通訳・生活2013

    • Author(s)
      金美善
    • Total Pages
      162-182
    • Publisher
      言語景観に見えるコリアタウン、そのイメージの経年的変化
  • [Book] 日本語学のまなざし2012

    • Author(s)
      安田敏朗
    • Total Pages
      164ページ
    • Publisher
      三元社

URL: 

Published: 2014-07-24   Modified: 2019-08-23  

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