2013 Fiscal Year Annual Research Report
拍長のゆれのパラメータ解析と日本語音声リズムの日本語らしさ評価システムの開発
Project/Area Number |
23652120
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貞廣 泰造 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (00280454)
大庭 理恵子 熊本県立大学, 文学部, 講師 (80618009)
大山 浩美 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 研究員 (00590126)
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Keywords | 音の時間長 / 拍とモジュール / 実験音声学 / 日本語音声の等時性 / ポーズ / 語アクセント |
Research Abstract |
今年度は、praatで切り分けた音の時間長の比較を行った。東京方言話者と中国人日本語学習者を比較し、東京方言話者の音読音声における特徴を見出した。まず、拍とモジュールの音長のばらつきを調べたところ、東京方言話者は「拍」と「モジュール」の双方において等時性を作り出していることが明らかとなった。また,東京方言話者の「拍」における音長のはずれ値をひとつひとつ精査したところ,話に抑揚をつける,感情やプロミネンスを表す,文の切れ目を表すために故意的にあるいは無意識に音長を長くしていることが見えてきた。一方中国人日本語学習者においては,「拍」では安定した等時性が見られたものの,「モジュール」においてはバラつきが大きいということが分かった。 次に,ポーズが日本語らしいリズム形成の一端を担っているという結果を得ることができた。東京方言話者は,聞き手に文意が伝わりやすいようにとの配慮から中国人日本語学習者の2倍弱ほど長くポーズを取っていた。聞き手に心地よいポーズの存在は,日本語らしいリズム形成に欠かせないものである。音読音声において、日本語らしいという評価をするために、この点にも着目する必要があることが分かった。 さらに,日本語の特殊拍の一つである長音の長さについて、両者の比較を行った。今回「太陽」の「よう」の長音に絞ってその長さを計測した。それによって、実測の長さと聞こえの長さが必ずしも一致していないことが分かった。東京方言話者と中国人日本語学習者の長音自体の計測値にはほとんど差が見られなかったものの、中国人日本語学習者の発話する「太陽」は「たいよ」のように聞こえるのである。praatにてピッチ曲線の変化を比較してみると、ピッチの高低が大きく影響を与えていることが分かった。 東京方言話者の音読音声の特徴を見出したことで、日本語らしい音読音声のデータベースを確立できた。
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