2011 Fiscal Year Research-status Report
多言語共生社会における移住女性の声の発信と社会参加の制度化に関する実践的研究
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23652124
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八木 真奈美 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (20579164)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多言語社会 / 移住女性 / 社会参加 |
Research Abstract |
2011年度は主に基礎調査に重点を置くこととし、具体的には、次のような研究実施計画を立てた。1、移住者を活用した地域日本語教室の実態調査の継続。2、語りの収集と社会参加のプロセスの解明。3、ワーキンググループの発足である。以上3点について、次のような成果があった。1については、2010年度の早稲田大学特定課題研究で行った「親子日本語教室」実態調査の協力団体の中から、移住女性の社会参加を目指して活動している団体に、改めて聞き取りを行い、地域の現状を調査するとともに、団体の代表者などとの協力関係を構築した。2、語りの収集ついては、これまで7名の移住女性に聞き取りを行い、現在さらに3名の協力者のインタビューを予定している。計画では、社会参加を果たしている移住者のみ研究対象としていたが、社会との接点がほとんどない移住者も多くいることがわかり、調査対象者の範囲を広げてインタビューを行った。7名のインタビューに関しては文字化し、個々のケース分析と7名の横断的な分析を行った。分析の結果、社会参加へつながる道筋としては、母国語と日本語の両言語ができるという複言語能力を生かした通訳、外国語(母国語)講師、小学校などで母国のことを紹介する外国人講師などをしている人がいたが、いずれもこれらの仕事で常勤となっている人はいなかった。そこへ至る経緯については、地域の支援者が一定の役割を担っている場合もあった。一方、来日10年が経過しても家族以外の人とのつながりがほとんどない人もおり、このような移住者の存在を可視化することの必要性も課題としてあがった。(3)については、地域の支援者や他の研究者、移住女性などと協力関係を構築し、ワーキンググループ発足へ向けて準備段階に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたが、2011年度は次のような実施計画であった。すなわち、1、移住者を活用した地域日本語教室の実態調査の継続。2、語りの収集と社会参加のプロセスの解明。3、ワーキンググループの発足である。1については、すでに終了し、2については、7名の聞き取り調査を終了、さらに残り3名はすでに依頼済みである。3については、メンバーを招集し、発足の準備段階に入っている。いずれも計画に沿って着手し、ほぼ予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は主に発信活動を行うこととし、具体的には、1、発表またはシンポジウムの開催、2、研究成果広報冊子作成、3、「移住者を活用した社会参加モデル」の構築と制度化への提示の3つである。1については、2012年度日本語教育学会春季大会(5月27日)での発表が採択された。その後はワーキンググループでの発表を秋に予定している。2に関して、研究実施計画では、聞き取り調査の分析結果を冊子にまとめる予定であったが、冊子は移住女性の声を発信するための広報活動であること、また移住女性のエンパワーメントにつながることを目的とした冊子であることに鑑み、希望があれば調査協力者自身が執筆した語りも載せていく方向で交渉を進めている。3については、研究実施計画通り、活動のHPを作成し、移住女性の社会参加のモデルについて、公開していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度研究費の使用について、主なものは、1、聞き取り調査旅費、2、冊子印刷費並びに冊子原稿謝礼・翻訳謝礼、3、HP作成・管理費となる。1については、2011年度は関東在住協力者を中心に聞き取りを行ったため旅費が抑えられたが、2012年度は2011年度分を含め、関西在住協力者への聞き取り、また冊子原稿執筆の打ち合わせを予定している。2については、当初予定からの冊子印刷費、加えて調査協力者自身の語りも掲載していくこととしたため、2011年度研究実施計画聞き取り予定人数を絞り、協力者への原稿執筆謝礼に使用することとした。また、当初予算からの多言語の翻訳謝礼も必要となる。3のHP作成・管理費については、当初予定からの予算である。
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Research Products
(1 results)