2012 Fiscal Year Annual Research Report
多言語共生社会における移住女性の声の発信と社会参加の制度化に関する実践的研究
Project/Area Number |
23652124
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八木 真奈美 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (20579164)
|
Keywords | 移住者 / 移住女性 / 社会参加 / 声の発信 |
Research Abstract |
研究目的:本研究は、日本に居住する外国人の定住化を受けて、彼らに対する「日本語教育支援」の先にある施策について実践的に探究を行うことを目的とした。具体的には、①移住者を対象とした聞き取り調査によって、彼らが社会に参加していく個々のケースを明らかにし、次に①を受けて、②移住者の声を直接的に発信する方法を探究した。 研究方法:①の目的を達成するため、移住者を対象に、移住の背景、家族を含む現在の状況、日本語の学習や話す機会、日本で困っていること、現在の仕事や参加している社会活動、将来的に目指していることなどについて、聞きとり調査を行った。調査協力者は来日から5年以上経過している移住女性10名で、1人1回から2回、個別または希望によりグループで半構造化インタビューを行い、移住者の社会参加の実態について質的にケース分析を行った。また、②の目的を達成するため、調査協力者の内、3名と共同で彼ら自身の声を発信する方法の実践的検討を行った。 研究成果:①の聞き取り調査の結果として、調査協力者の社会参加や日本語学習は極めて個別で多様であるが、それぞれが状況に応じて選択していることがわかった。具体的には、日本語学習では、妊娠出産など自分の生活状況や子どもの年齢、子どもと話す言語などで学習動機が変わることや日本語教室への不満など提供側の問題などの理由で、一つの場所や同じ方法で継続することは難しいことがわかった。また、仕事やボランティアなど社会参加の方法としては、複言語話者であることを活かし、通訳や外国人講師などを行っている割合が高かった。②の成果としては、調査の結果を研究者が学会などで公表する方法以外に、調査協力者自身が文章を書き、冊子として公開するという新しい試みができた。①と②の成果により、移住者は「外国人」から「複言語という資本を持つ豊かな存在」として位置づけることへの挑戦が達成できたと考える。
|
Research Products
(2 results)