2012 Fiscal Year Annual Research Report
問題発見解決能力の育成を目指した留学生のためのケース教材の開発
Project/Area Number |
23652125
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 七湖 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (40579166)
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Keywords | 日本語教育 / 教材 / 留学生 / ケースメソッド / 問題発見解決能力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、問題発見解決能力を育成することを目指した、留学生のためのケース教材集を開発することである。23年度には、「ケース教材作成グループ」を組織し、20名の留学生、および1名の元留学生に、留学生活の中で生じた問題について話してもらう、半構造化インタビューを行った。次に、インタビューを文字化し、156のエピソードを抽出し、ケース教材作成のための基礎資料とした。この基礎資料からケース教材を作成し、定期的に開催された「ケース教材検討会」で検討を行った。検討後、ケース教材の修正を行い、よりよいケース教材となるようにした。 24年度には、23年度に引き続き、定期的に「ケース教材検討会」を開催し、ケース教材の作成とケース教材の検討を行った。 また、ケース教材を用いた留学生のための日本語科目を2科目開講し、ケース教材を用いた日本語教育を実践した。この実践において、ケース教材を用いた受講生のグループ討論、ならびにクラス全体の討論を録音し、さらに、コース終了時の受講生への質問紙調査、インタビュー調査により、受講生にどのような学びがあったのか調査を行った。その結果、ケース教材を用いた日本語教育実践は、受講生に肯定的に評価されており、ケース教材を通した疑似体験やケース教材をめぐる討論によって他者の価値観や異なる考え方を知ることが問題発見と解決につながることが示唆された。 また、参加者が自らケース教材を作成できるようになることを目指し、教員向けのワークショップを開催した。さらに、作成された62のケース教材のテーマや場面を整理し、テーマや場面の重なりなどを考慮した上で、40のケースを選出し、「ケース教材集」とした。この「ケース教材集」は、25年度中の出版に向けて準備中であるが、今後もケース教材を用いた日本語教育の実践研究を国内外の研究会、学会誌等で発表していく予定である。
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