2011 Fiscal Year Research-status Report
4技能を関連させた英語指導法の開発と中高英語教育への応用
Project/Area Number |
23652135
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
巽 徹 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (10452161)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 4技能を統合した言語活動 / アウトプット重視の英語指導 / 新学習指導要領 / グループ活動 |
Research Abstract |
本研究は、複数の技能を関連させて定着を図る英語指導法であるGroup Work Reporting(以下GWR) による学習が、大学生英語学習者の第二言語習得に及ぼす影響について検証し、さらに、GWRを活用した英語指導を中学・高校の英語教育において実施するために、授業モデルの構築と中高で活用できる教材開発を行うことを目的としている。平成23年度の研究では、(1)大学生英語学習者のGWRにおける英語使用の実態把握、(2)大学生のGWRに活用できる教材開発のための英語圏における教材化可能な素材の収集、(3)中高新学習指導要領におけるGWRによる指導法の位置づけと意義の明確化を行うための学会や教員研修セミナーなどにおける情報収集、の3点に重点を置いて研究を進めてきた。 (1)に関しては、大学の「英語コミュニケーション」の授業で実施したGWRの活動で、学習者の発話を録音し、発話の文字起こしを行った。これらの資料を基に、学習者の「口頭レポート」と「要約文」の内容や使用表現を比較するための基礎資料を整えた。 (2)夏季休業中に渡英し現地の教材収集を行うとともに、英国外国語教育推進や外国語教員研修の拠点であるCILT(National Language Centre)の主要な関係者と最新の外国語教育指導法などについて意見交換を行った。 (3)に関しては、中部英語教育学会福井大会の問題別討論会で「中学校英語授業で予想される変化とそれに応じた指導のあり方」について発表し、「4技能を統合的に活用するコミュニケーション」について問題提起を行った。さらに、各地の教員研修セミナーでの発表や議論を通して、GWRによる指導法の位置づけと意義の明確化を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究における3つの重点は(1)大学生英語学習者のGWRにおける英語使用の実態把握、(2)大学生のGWRに活用できる教材開発のための英語圏における教材化可能な素材の収集、(3)中高新学習指導要領におけるGWRによる指導法の位置づけと意義の明確化を行うための学会や教員研修セミナーなどにおける情報収集であり、それぞれの達成度は以下の通りである。(1)大学の授業で実施したGWRの活動で、学習者30名に対して3回分の発話をICレコーダーに録音し、その後、発話の文字起こしを行った。これらをPCに保存し今後の分析の基礎資料とした。(2)平成9月9日~20日まで、渡英し現地の語学教育教材、現地の新聞雑誌、その他の出版物など教材収集を行った。また、英国における外国語教育政策の中心的な立場であるThe Language Company代表のDr. Lid King氏や外国語教員研修の拠点であるCILT(National Language Centre)の主要な関係者らと最新の外国語教育指導法や教員養成、ウエブ上の活用可能な教材などについて意見交換を行った。帰国後は、それらの素材を活用して、大学生が行うGWRに活用可能な教材の開発を行った。(3)中部英語教育学会福井大会の問題別討論会で「中学校英語授業で予想される変化とそれに応じた指導のあり方」について発表し、「4技能を統合的に活用するコミュニケーション」について問題提起した。参加者との技能統合による指導について活発な議論がなされ、技能統合による英語指導の様々な方法について多くのアイデアが示された。また、岐阜、愛知、熊本、岡山、神戸、浜松等で英語教員研修セミナーを開催し、その場で4技能を統合した指導について発表や提案を行った。参会者との議論を通して、GWRによる指導法の位置づけと意義の明確化を図ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)大学生のGWRにおける学習行動の分析では、平成23年度に収集した大学生の「口頭レポート」と「要約文」の内容や使用英語表現について比較し、「誤りとその修正」「語彙や文法知識」「英語表現の複雑さ」などの観点について、学習者内比較と学習者間比較を行い、GWR が大学生学習者に及ぼす影響について考察する。また、学習者が情報発信を行うGWRの実践を行う。学習者が情報の発信者となる場合、ストーリーの読み取り、理解、リハーサルの過程での学習を振返り、学習行動とその内容を記録させ、その記録に基づいて、発信に至るまでの学習者の学習行動を分析する。 (2)教材開発においては、中学生・高校生の発達段階や学習環境・条件に合ったGWRの活動モデルを構築し、中高教科書教材や副教材の題材を活かしたGWRの教材開発、また、中高新学習指導要領に示される言語材料を意図的に扱った教材開発、さらには、英語圏における教材化可能な素材の収集により、中高英語学習に対応した教材開発を行う。 (3)これらの教材や活動の工夫を提案し、中高協力校に依頼し授業実践を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は、平成23年度の繰り越し分も含め以下のような使用計画である。物品費250,000円、旅費418,780円、人件費70,000円、その他、30,000円。 物品費は、新規のコンピュータ購入によるデータの処理の効率化を行うために、コンピュータ本体と関連ソフトウエア-の購入費用として計上した。また、教材開発のための素材収集や先進的な実践の視察、学会参加等に必要な国内外への旅費を計上した。さらに、セミナー開催の際の講師謝金等の人件費を計上した。
|
Research Products
(3 results)