2011 Fiscal Year Research-status Report
裁判員制度における法廷通訳環境整備のための基礎的研究
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23652137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津田 守 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 教授 (50163811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 通夫 こども教育宝仙大学, その他部局等, 教授 (20170813)
思 沁夫 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (40452445)
浅野 輝子 名古屋外国語大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90387861)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 司法制度改革 / 裁判員裁判 / 法廷通訳人 / 司法通訳翻訳人 / 法曹三者 / 外国人事件 |
Research Abstract |
平成23年度当初から10月にかけて、最高裁判所、地方裁判所、法務省・検察庁、弁護士会などからの主として統計データの収集と整理分析を行った。司法制度改革、裁判員裁判制度、要通訳事件などの概要を把握することを目的としたが、それは法廷通訳人への聞き取り調査を個々に実施する前提として必要性のきわめて高い者であった。 8月から12月にかけては、千葉、東京、名古屋、大阪、神戸、岡山、那覇などの地方裁判所にて裁判員裁判を担当し経験した法廷通訳人への聞き取り調査を実施した。それぞれ、最低2時間、最大5時間程度の半構造化インタビューであった。実施場所はざまざまであったが、できる限り本研究分担者が共同で行うこととし、その内容をその場で共有するとともに質疑や議論が必要に応じてなされた。そういった前後には、研究代表者及び研究分担者の間での検討会(研究会)が行われた。 1月と2月には準備を進め、3月20日に大阪大学グローバルコラボレーションセンターが主催し、同大中之島センターにおいて公開シンポジウム「裁判員裁判経験の法廷通訳人が語る」を開催した。2009年9月に、さいたま地方裁判所で行われた本制度下最初の外国人事件から、2年半が経過していたが、要通訳事件(公判前整理手続きと連日集中審理)に関する実体験や所見に関しての、通訳翻訳業務を粛々と遂行してきた法廷通訳人の声は、法廷の外ではほとんど聞かれることはなかった。本シンポジウムには定員100名の会場に、120名が参加し、そのうちの10名の法廷通訳人がパネリストとなり、活発な発題と質問等への応答がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査は、裁判員裁判を実際に担当したことのある法廷通訳人に限定している。かららは押し並べて多忙であり、調査への理解と了解を得られた後でも、実際の日程調整がなかなか難しいことがあった。ひとりへのインタビュー時間も「2時間程度」と伝えてあり、結果的に予定の人数を多少下回った。しかし、全体としては順調に進んでいる。 裁判員制度及びそこでの要通訳事件ということで、統計データ等の公表にはどうしても時差が出る。そのため、全体像を把握するためには、常にアップデートを試みていなけばならない。 上記の公開シンポジウムを盛会のうちに実施できた。これにより、法曹関係者はもとより各方面に一定の理解を広げることができた。また、これが契機となって、さらにさまざまな言語や地域で稼働する法廷通訳人とのつながりが出来、今後の聞取り調査に弾みがついた。 また、同シンポジウムの議事録をまとめており、中間的な成果発表が出来つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度でもあるので、法廷通訳人への聞取り調査(必要に応じて、再調査)をより積極的に推進することを主眼とする。ただし、それは「再調査」分を除いて新規には10月頃までで終了する。 公開シンポジウムの議事録を、本研究の中間発表の形で報告する。 11月ころには、東京にて再度「公開シンポジウム」を企画し、議論と関心を一層深化させていくようにする。より多くの法曹関係者、法廷通訳人、研究者などに呼びかける。 年度末までに最終報告書を刊行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度からの若干の繰越額を含めて、聞き取り調査のための旅費等に重点的に執行していく。再度の公開シンポジウム開催費用、最終報告書刊行にむけての経費などに研究費を使用していく計画である。
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