2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学での英語ライティングの自律協調学習ー重層的デジタルポートフォリオの構築と評価
Project/Area Number |
23652140
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山下 徹 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70249738)
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Keywords | 英文ライティング / 重層的デジタルポートフォリオ / 自律協調学習 / ライティング方略 / メタ認知の可視化 / 自己効力感 / 経時的変化 / テキストマイニング |
Research Abstract |
前年度までの予備的研究等を踏まえて、平成25年度には、英文ライティングの自己・相互評価をオンラインで実施し、結果を重層的ポートフォリオとして記録できるWebDAVサーバーシステムを構築した。学習者はライティングの自己評価を行ない、個人のワーキング・評価ポートフォリオとしてサーバーに保存した。次に、Acrobat XI Proのオンラインでの注釈機能により、このポートフォリオを参照して相互評価を行い、評価ポートフォリオとして記録した。相互評価を行った学習者は、モニタリング・コントロールを含む自己のメタ認知の向上等に役立つ点も注釈に記載した。学習者は相互評価に基づき、ドラフトの推敲と最終的な自己評価を行いサーバーに記録した。結果として、授業の内外で学習・認知プロセスを相互に可視・共有化しつつ活動を進めることができた。 上記のポートフォリオに基づき、MAHARAにおいて学習者の重層的PDFポートフォリオを効果的に一覧・検索・比較できるシステムを構築した。また、このPDFポートフォリオを参照し、他の学習者のライティング・メタ認知等の変容を全体的に振り返り、MAHARAのフォーラムにコメントを投稿する活動を実施した。 ポートフォリオにおける方略、メタ認知、自己効力感等の経時的変化及びこれらの概念間の関係性を、量的分析法であるテキストマイニングと質的分析法とを組み合わせて分析した。また、ケーススタディにより、個々の学習者のポートフォリオ間の関係を綿密に分析し、自己・相互評価とメタ認知的意識等の向上度との関係を考察した。ライティングの向上度はCoh-Metrix等を使用して検証した。ライティング方略、自己効力感のアンケートを実施し、事前・事後の有意差を検証した。最終的に重層的デジタルポートフォリオの活用が、大学レベルでの英文ライティングの自律協調学習の支援に有効であることを明らかにした。
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