2011 Fiscal Year Research-status Report
英語eラーニングでの自律的学習につながる学習履歴データの提示に関する研究
Project/Area Number |
23652142
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
青木 信之 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80202472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 智恵 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80275396)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | eラーニング / 英語学習 / 自律的学習 / 学習履歴データ |
Research Abstract |
本研究は、eラーニングにおいて、どのような学習履歴データが、どのような形で、そしてどういったタイミングで提示されれば、学習者自身の中で処理され、自身の学習に対する有効な気づきとなり得るのか、また適切に問題が診断され、反省的行動を引き起こすような自律的学習を促す結果に至るのか、これらの関係を学習履歴データ提示とデータを提示される側である学習者の処理プロセスという2つの観点から調査し、その効果を実際に検証することを目的としている。 LMSで収集可能な学習履歴データとその提示方法の中から、自律的学習を促すのに有効と思われるものを選定するため、平成23年度はまず、前年度にeラーニングを利用した英語授業を受けた学生の中から、英語や英語学習に対する関心の高い者10名程度にインタビュー調査を行った。どのような学習履歴データに関心があるのか、たとえば自分自身のデータ(自己のデータ)だけでなく、同時に学習している同級生の学習状況や、あるいは過去に受講した者の中から自分と同程度の英語力で最終的に英語力の向上に成功した者(他者のデータ)との学習履歴比較に関心があるのかというようにまず提示データの種類について知見を得た。その上で、どういった方法が望ましいか、例えばボタンを押すことによって履歴が提示されるのか、あるいは自動的に必ず提示されるのか、また各課題が終わるたびに提示があるのか、あるいはある一定期間ごとに提示があるのかといった提示のタイミング等についても知見を得た。 これらの調査結果の分析にもとづいて、自律的学習を促すのに有効であると思われる学習履歴データとその提示方法の検討及び選定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のとおり、平成23年度は、インタビュー調査を実施し、その結果の分析にもとづいて、自律的学習を促すのに有効であると思われる学習履歴データとその提示方法を検討及び選定を行うところまでは達成できた。しかし、平成23年度の研究実施計画で予定していた、LMSと学習プログラム本体を改良を行う時間的な余裕がなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、平成23年度に達成できなかったLMSと学習プログラムの改良を実施し、その上で、eラーニングを活用した英語授業で試行し、学習者の学習中の行動に関するデータを収集する。試行授業実施後、試行に参加した全学習者に対し、アンケートを実施し、学習履歴データの提示により誘発された反省的行動について量的調査を行う。また同時に、学習者の中から、前述したような履歴データ閲覧について反応の異なった学生や属性(学習目標、動機付け、英語力など)の異なる学習者を選び出し、詳細なインタビュー調査を行うことにより、質的データを収集する。 次に、学習者の学習中の行動に関するデータの中から、学習履歴データの提示が自律的学習を促された結果と考えられるデータを分析することで、学習履歴データの提示の観点から学習者の反省的行動や自律的学習とのつながりを検討する。学習者に対する量的・質的調査のデータを分析し、学習者により反省的行動に違いがあるとすれば、その違いを生み出している要因は何か、その違いは提示する学習履歴データの内容や提示方法に起因するものなのか否か、あるいは、気づきがあっても診断へとつながらない学習者や診断しても改善行動に至らない学習者に対し、提示する学習履歴データの内容や提示方法を変えることで、次の段階へ進ませることが可能になるのかなどといった点を検討する。 このように、学習履歴データ提示の観点と学習者側の観点から学習履歴データと学習者の反省的行動や自律的学習との関係を明らかにすることで、学習履歴データ提示についての示唆を得、その示唆にもとづいて、どのような学習履歴データを、誰に対して、どのような形で、どのようなタイミングで、どこに提示することが有効かを明らかにする。 以上の知見に基づき、LMSと学習プログラム本体をさらに改良する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の主な使途は以下の通りである:・平成23年度に達成できなかったLMSと学習プログラム本体の一次改良のための委託費・データ分析用のパソコン購入・インタビュー調査インフォーマントへの謝金支払い・学会発表のための旅費・LMSと学習プログラム本体の二次改良のための委託費
|