2012 Fiscal Year Research-status Report
英語学習における英語らしさの追求―事態把握の志向性に基づくライティング教育の提案
Project/Area Number |
23652146
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
谷 みゆき 中央大学, 法学部, 准教授 (50440201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 敦子 聖心女子大学, 文学部, その他 (70440203)
阿久津 純恵 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20460024)
多々良 直弘 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80383529)
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Keywords | 英語教育 / 言語学 / 事態把握 / ライティング |
Research Abstract |
本研究の目的である、①英語話者と日本語話者の事態把握の違いが、日本の英語学習者の英語にどのような影響を与えているかを実証的に明らかにすること、②日本の英語学習者が「英語らしい」英文を書く力を身につけるための教育方法および教材を開発することの2点のうち、当初の研究実施計画では平成24年度は2点目に重点を置く予定であったが、平成23年度に完了することができなかった作業仮説の設定に時間を充てたこと、また教育方法発案の前段階として平成23年度に行っていた1点目に関する研究の継続が必要であると判断したことから、2点目に着手しつつも、平成23年度に引き続き1点目に焦点を置きながら研究を進めることとなった。 具体的には、平成23年度の「移動表現」に関する考察をさらに実証的なものとするため、英語で書かれた小説とその日本語訳を比較することにより、両言語話者の事態把握の現れについてさらなる考察を行い、その結果を平成24年7月英国認知言語学会(ロンドン)にて発表した。また、平成23年度に収集したデータの分析結果として、日本の英語学習者による関係代名詞の多用に注目し、その現状と根源的要因について平成24年10月Pan-Korea English Teachers Association (PKETA) 国際会議(釜山)にて成果発表を行った。 研究実施計画で予定していた、データ収集および分析については平成25年度へ持ち越すこととなったが、平成24年度中にデータ分析方法についての入念な再検討等を実施し、当初計画していた方法での収集・分析以上の成果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に実施予定であった、「ライティング課題の作成」、「課題の実施とデータ収集」、「データ分析」については、平成23年度に行った作業仮説設定の継続や、データ収集および分析方法の再検討を実施したことにより、進捗状況に若干の遅れが出る結果となった。しかしながら、効果的な研究の遂行には不可欠なプロセスであり、最終的な研究成果の質向上のためにはやむを得ない変更であった。なお、平成23年度終了時に提出した実施状況報告書にて平成24年度の研究課題として追加した、研究分担者追加による事態把握研究におけるさらなる考察については予定通り実施し、成果発表も行っており、目標を達成している。よって、単年度での達成度を当初の研究実施計画と照らし合わせて見ると「やや遅れている」との自己評価であるが、研究全体の目的を考えると、滞っているということではなく、むしろ必要な計画変更の一環であったと考える。 なお、本研究の最終的な目的である「『英語らしい』英文を書く力を身につけるための教育方法および教育教材の開発」については、そのほとんどを平成25年度へ持ち越すこととなったが、平成24年度中に方法論や今後の研究スケジュール等についての打ち合わせを重ねており、円滑な実施が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目的は、英語教育にこれまで言語学的枠組みで論じられてきた事態把握に基づいた日英語比較の視点を盛り込むことにより、日本の英語学習者が「英語らしい」英語を書く力を身につけることを目的とする教育手法および教材を開発するということであるが、今後も引き続き言語学、外国語教育、アジア研究を専門とする研究者がそれぞれに自らの研究実績を活かしながら研究を推進する。なお、平成25年度の研究推進方策としては以下の各点を予定している。 ①事態把握に関するさらなる考察:最終的な教育手法の発案に活かすべく、言語学研究を専門とする研究者2名で引き続きワーキンググループを形成し、日英語話者の事態把握の傾向性についての言語学的視点によるさらなる考察を進める。 ②データ収集および分析:上記①のワーキンググループに加わらない研究者2名で別のワーキンググループを形成し、ライティングデータのさらなる収集および分析に注力する。なお、データ分析にあたっては平成24年度に検討した手法により、データベースを作成し、量的分析も実施する。まだ実現に至っていない、学生を対象としたアンケート調査や、ネイティブスピーカーを対象としたインフォーマントテストも平成25年度に行う予定である。 ③教育手法・教材開発:各ワーキンググループでの研究成果を総合し、「英語らしい」英語を書くための教育手法の発案および教材の開発を行う。また、実際に当該手法を実践し、その効果等について検証する。 ④研究成果報告:平成24年度までに口頭発表を実施した研究成果報告については、さらに研究を進め、平成25年度中の論文発表を行う。また、上記①、②、③についても適宜成果報告を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、当初使用予定であった1,360千円のうち593千円の支出にとどまったが、これは平成23年度に予定していた研究課題の継続を行ったことによるもので、平成24年度に実施予定であった、データ収集に際する学生インタビュー、インフォーマントテストへの謝礼等が支出されなかったことによるものである。 平成25年度に使用する967千円(平成24年度未使用分767千円+平成25年度請求予定分200千円)は、上記に加え、収集したデータを分析するためのデータベース作成の委託、ライティング教授法および教材開発に向けた資料収集および成果物へのネイティブチェック、データ分析結果や教授法実施結果報告のための旅費として支出の予定である。
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[Presentation] 2012 PKETA International Conference
Author(s)
Sumie Akutsu, Atsuko Aoki, Miyuki Tani
Organizer
The Overuse of Relative Pronouns by Japanese English Learners: How Event-Construal Affects Language Learning
Place of Presentation
Pukyong National University(釜山)