2013 Fiscal Year Research-status Report
医療ツーリズムにおける通訳の役割及び非言語スキルの特定
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23652148
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
宮本 節子 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (80386896)
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Keywords | 異文化コミュニケーション / 医療観光 / 医療通訳 / タイ王国 |
Research Abstract |
本研究は、医療ツーリズムの分野において先進地域であるタイ王国の国際病院において、医療通訳者が果たしている言語面/非言語面での役割と、その役割行使をめぐる課題を特定することを目的としている。 平成25年度は、前年度の現地調査を経て選択したバンコク市内の医療機関に勤務する医療通訳者へのインタビュー、また、前年度調査を行った医師を対象にフォローアップの聞き取り調査を実施した。調査3年目にして、質的調査に足る人数の医療通訳者へのインタビューが叶ったことになる。医療通訳者への調査から以下のようなことが明らかになった。1)海外からの医療観光者を「患者」であると同時に「顧客」と認識し、患者と医師のコミュニケーションの仲介を行うのみならず、顧客の満足度を高めるために複数の役割を果たしていること、2)特にタイの病院において需要の高い美容形成外科の分野においては、患者自身が顧客であるという強い自己認識を持っており、患者が要求するサービスと予想される施術結果との相違を埋めるために、患者を教育する役割を医師以上に通訳者が担っていること、3)この役割行使においては、医師と通訳者との間の信頼関係の構築が必須であり、それぞれの医療機関において独自の通訳者の継続的トレーニングや情報共有が行われていること。これらの調査結果を国内外の学会において発表した。 本研究は平成25年度をもって終了予定であったが、補助事業期間の延長の承認を受け、平成26年度も継続して上記調査の実施、研究結果の発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)「研究の目的」の達成に必要な国外調査ついては順調に進んだ。平成24年度に書面で行った医療通訳者への調査であるが、長時間の聞き取り調査を25年度には実施することが出来た。 2)成果発表については、国際的な観光学会(Asia Pacific Tourism Association)、並びに国際医療学会(びわ湖国際医療フォーラム)で口頭発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
上記【研究実績の概要】でも言及した通り、本研究は平成25年度をもって終了予定であったが、未使用の研究費が生じている。主たる理由は以下の2点がある。(1)謝礼費:調査協力者に対する謝礼費に関しては、正式に調査に協力してくれた医療機関の中にも謝礼費の辞退があったため、当初の謝礼費の見込みを下回った。(2)旅費:日本国内の医療機関長さのための旅費が未使用であった。これは交渉のみで実際の実地調査に至らなかったケースが多かったためである。 これを受け、平成26年度も継続して調査を実施する補助事業期間の延長の承認を得た。未使用の研究費は平成26年度に繰り越し、今後の研究の推進方策としては平成26年度4月及び7月の学会の発表、また、学会の開催地であるバンコク市で最後の調査を実施した後、得た成果を論文においてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記【研究実績の概要】でも言及した通り、本研究は平成25年度をもって終了予定であったが、未使用の研究費が生じている。主たる理由は以下の2点がある。(1)謝礼費:調査協力者に対する謝礼費に関しては、正式に調査に協力してくれた医療機関の中にも謝礼費の辞退があったため、当初の謝礼費の見込みを下回った。(2)旅費:日本国内の医療機関長さのための旅費が未使用であった。これは交渉のみで実際の実地調査に至らなかったケースが多かったためである。 これを受け、平成26年度も継続して調査を実施する補助事業期間の延長の承認を得た。未使用の研究費は平成26年度に繰り越し、使用計画としては具体的には以下の通りである。 [旅費及び学会参加費]2回の海外学会発表(平成26年度4月:オーストラリア・シドニー、平成26年8月:タイ・バンコク)学会の発表、平成26年8月:バンコク及びチェンマイ現地研究調査。[謝礼費]8月の現地調査協力者に対して。[印刷費]これまでの成果のまとめ。
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