2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23652155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30261259)
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Keywords | 近現代史 / 水産業 / アイヌ / ロシア / 沿海州 / 昆布 / 上海 |
Research Abstract |
資料収集:国内では「北水協会報告」の後掲雑誌である「北海之水産」などを網羅的に収集した。前年度の調査を踏まえて鹿島万兵衛の資料を写真撮影し、中国における海産物市場や中国人の海産物に関する嗜好の調査についての手記・日記を分析することができた。海外ではロシアの水産雑誌を国立図書館(サンクト・ペテルブルグ)において調査し、一部を複写した。 これまでの研究を踏まえて研究代表者の麓慎一と連携研究者による研究会を新潟大学において開催した。代表者の麓は「東アジアにおける海産物流通」と題して北海道立文書館および東京大学経済学部が所蔵している鹿島万兵衛資料の分析を以下の点に焦点をあてて発表した。①鹿島万兵衛が明治20年7月1日に北海道庁から受けた命令書から、北海道庁が中国での海産物調査に何を期待していたのか、という点である。②鹿島万兵衛とともに海産物の調査に派遣された赤壁の天津からの報告を紹介した。③同じく赤壁が鎮江から報告した「見本昆布市品評書」を分析して、特に日本産の昆布がロシア産のそれと対立する関係にあったことを論証した。また、ロシア産昆布が低廉に売買されていた理由も解明することもできた。 連携研究者の石川氏は韓国における水産業について、田島氏は日本の近代漁業史の研究動向とその問題点について発表した。 本年度の研究によって近代日本の水産業が一国史的な視点では解明できないことが資料的に確認できた点が大きな成果であった。この挑戦的萌芽研究をさらに発展させるための方策について、上記の連携研究者だけでなく中国海洋大学日本研究センター所長の修氏とともに協議することができた。 平成23年度の中国調査および国際ワークショップと平成24年度の日本における研究会を有機的に連動させることができた点は大きな成果であった。一方で、アイヌ社会の分析がさらに必要である点も認識されるにいたった。
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Research Products
(3 results)