• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

想定東海地震地域における文書・絵図を基礎とした地盤変化の研究

Research Project

Project/Area Number 23652156
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

矢田 俊文  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小野 映介  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432228)
谷口 央  首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90526435)
堀 健彦  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80313493)
Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords地震 / 地盤 / 隆起 / 国絵図 / 遠江 / 浜名湖北部 / 1707年 / 宝永
Research Abstract

23年度の成果は、以下の4点である。1、1707年宝永地震の震源が駿河湾内にまで達したかどうかは未決着の問題である。そこで、宝永地震前の元禄期と後の寛保期それぞれについて、榛原町(現静岡県牧之原市)から吉田町にかけての海岸や集落を描いた絵図を比較検討し、宝永地震前後で浜堤列の数は変わらず、道や主要な寺社の位置から海岸線の位置に明確な変化は認められないことを確認した。絵図の比較からは宝永地震後に海岸が顕著に前進(つまり、隆起)した様子は見られないことを明らかにした。2、ほとんど知られていなかった17世紀中期作成の名古屋市蓬左文庫蔵「遠江国図」の村高等を正保郷帳と比較検討することにより、本国絵図は正保期国絵図作成時の下図を元にした写図であることを明らかにし、論文として公表した(谷口央,名古屋市蓬左文庫蔵「遠江国図」について,災害・復興と資料1号,2012)。論文には絵図を掲げ、村の位置を明示し、そのうえで村高の文字情報をすべて翻刻した。17世紀中期の村の位置と村高の明示は、1707年宝永地震による地盤の隆起・沈降のために変化した地域を検討するための基礎を築いたことになる。3、浜名湖北部において地形調査を実施し、2地域の湖底において地震性の隆起が疑われる地形を確認した。4、浜名湖北部地域の湖岸の村の文書を調査し、1707年宝永地震後に気賀村地域(静岡県浜松市北区)が沈降したことを示す文書の原本を確認した。さらに、村の田地の大半が沈降したと推定できる史料を見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画は、歌川学(『三河遠江の史的研究』1984)が水没したと推定し、さらに近世史料に地震で沈降したと記される気賀を含む浜名湖北部地域を中心に検討するものであった。この地域の地形調査により2地域の湖底において地震性の隆起が疑われる地形を確認できたこと、また、1707年宝永地震後に気賀村地域が沈降したことを示す文書の原本を確認し、村の田地の大半が沈降したと推定できる史料を見出すことができたこと、さらに、浜名湖北部地域を含む遠江地域の1707年宝永地震以前の正保期国絵図の史料的性格を明らかにし、村の位置と村高を翻刻したことは、当初の計画とおり研究が進んでいることを示している。

Strategy for Future Research Activity

1.年度内に2回の研究打合せ会を新潟で開催し、年度内の作業についての綿密な打合せを行い、年度前半に地形・絵図・文書調査を行い、文書・絵図については記載された文字を読み取る作業を行う。秋の打ち合せ会では文書、絵図、地質試料年代分析の総合化により、確実に沈降した資料を確定し、地形復元作業を行う。2. 24年度は浜名湖南部地域の文書・絵図・地形の検討を中心に行うが、浜名湖北部地域で23年度に2地域の湖底において地震性の隆起が疑われる地形を確認できたので、地形調査では浜名湖北部地域での成果を確実なものとしたい。また、浜名湖北部の気賀村地域の調査で見出した村の田地の大半が沈降したと推定できる史料の翻刻を早期に行い、後半には成果に結びつけたい。さらに、1707年宝永地震以後と以前の遠江地域の絵図史料の検討により、遠江地域の地盤の隆起・沈降の具体像を明確にする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1.24年度の研究を推進するため、設備備品費としては、遠江地域自治体史史料集等書籍の購入に使用する。消耗品は文具類を購入する。旅費は研究打ち合わせ会、史料調査に使用する。謝金は文書・絵図文字情報翻刻のために使用する。2.前年度未使用額が生じた点について:調査予定地と研究対象史料を検討するなかで、23年度に本格的な調査をするよりは、24年度にまとめて調査地での調査と研究対象史料の本格的検討をするほうが研究遂行上効果的であると判断したため、当該研究費が生じた。3.未使用額と24年度の研究費を合わせて、本年度の調査によって見出した浜名湖北部の調査地点で、現地調査、ジオスラーサー立会のための旅費として使用し、さらにジオスライサー委託費に使用する。さらに得られた試料の年代を測定するための年代測定委託費に使用する。4.浜名湖北部の調査で見出した史料の翻刻に謝金を使用する。さらに、その地点の関連史料を調査するための旅費として使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 名古屋市蓬左文庫蔵「遠江国図」について2012

    • Author(s)
      谷口央
    • Journal Title

      災害・復興と資料

      Volume: 1号 Pages: 73-107

  • [Journal Article] 東日本大震災と前近代史研究2011

    • Author(s)
      矢田俊文
    • Journal Title

      歴史学研究

      Volume: 884号 Pages: 12-15

  • [Presentation] 中世・近世の地震被害―1498年明応地震と16世紀末17世紀初頭の地震を中心に-2012

    • Author(s)
      矢田俊文
    • Organizer
      東北中世史研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      仙台市戦災復興記念館
    • Year and Date
      2012年1月7日
  • [Presentation] 絵図の比較から見た宝永地震前後での静岡県牧之原市における海岸線の変化2011

    • Author(s)
      藤原治・矢田俊文・宍倉正展
    • Organizer
      歴史地震研究会
    • Place of Presentation
      新潟大学駅南キャンパスときめいと
    • Year and Date
      2011-09-16

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi