2011 Fiscal Year Research-status Report
弘前藩における「音」文化の成立及び「楽」思想の形成と近代への展開
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23652159
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Research Institution | Aomori Chuo Junior College |
Principal Investigator |
北原 かな子 青森中央短期大学, その他部局等, 教授 (80405943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浪川 健治 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (50312781)
武内 恵美子 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30400518)
山下 須美礼 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (90523267)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 邦楽 / 洋楽 / 音楽 / 弘前藩 / 楽思想 / 地域研究 / 地方文化 |
Research Abstract |
本研究は、津軽地方弘前藩における「音」文化の成立や「楽」思想の形成過程を明らかにし、近代以降の日本文化への影響を考察しようとするものである。本年度は(1)資料選定及び収集、(2)資料解読作業、 (3)分析視点および枠組みの検討の3点につき、研究を進めた。(1)の資料選定及び収集 研究開始にあたって、調査対象とするべき資料の選定から始めた。従来の弘前藩研究において音や音楽はほとんど扱われてこなかったが、あらためて弘前藩にかかわる先行研究の検証を行った。そのうえで、本年度は近世を中心として、弘前市立図書館、青森県史編纂室所蔵資料から、本研究に必要となる文献資料調査を行った。具体的には、寛政年間から「楽」など、いくつかのキーワードを設定して弘前藩日記を調査した。この弘前藩日記については、天保期をすべて撮影収集した。さらに奏楽関連資料14点を撮影収集した。また、近代については、弘前に滞在していたキリスト教メソジスト派の女性宣教師による年次報告書(Minutes of the Women's Annual Conference of the Methodist Episcopal Church in Japan, 1886-1891まで)を中心に、音楽に関わる記述を手がかりとして調査を行った。(2)資料解読作業 (1)の資料選定・収集と平行して解読も進めた。特に本研究では、撮影収集した奏楽関連資料のうち、特に内容が貴重と思われる資料「奏楽御用留」の翻刻を行った。(3)分析視点及び枠組みの検討 上記(1)、(2)の作業と平行し、随時研究枠組についての検討を行った。その結果、たとえば「虫送り」のような民間行事と「鳴物停止」の関係など、いくつか興味深い視点を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近世に関して、弘前藩関係資料については、予定した資料収集の範囲をほぼ収集した。また、奏楽御用留など、当初の予定以上の資料を発掘することもできた。これにより、近世ー近代の連続性を明らかにする方向性が見えてきた。同時進行で行った近代部分については、米国人宣教師資料などを、予定通り資料解読を進めた。近世資料で、たとえば楠美家日記など当初予定していた部分で、まだ収集・解読に至っていないものもあるが、全体としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、弘前図書館調査および資料解読、そして東京芸術大学所蔵されている、邦楽調査掛に関する資料収集を行う予定である。本研究は、先行研究がほとんどないので、今後のこの分野の展開においてまずは綿密な資料調査が必須であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全額、旅費として使用する。本研究の拠点は津軽氏弘前藩があった現在の弘前市である。しかし、分担者の居住区が離れているため、23年度は合同調査および協議の機会を2度に抑え、データのやりとりなどで連絡を取り合って旅費を軽減した。この分を24年度にまわすことで、個々の分担者である程度読み込んだ資料調査結果を元に討論の機会を増やし、成果を上げることにつないでいきたいと考えている。
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