2013 Fiscal Year Annual Research Report
弘前藩における「音」文化の成立及び「楽」思想の形成と近代への展開
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23652159
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Research Institution | Aomori Chuo Junior College |
Principal Investigator |
北原 かな子 青森中央短期大学, その他部局等, 教授 (80405943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浪川 健治 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (50312781)
武内 恵美子 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30400518)
山下 須美礼 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (90523267)
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Keywords | 邦楽 / 洋楽 / 音楽 / 弘前藩 / 楽思想 / 地域研究 / 地方文化 |
Research Abstract |
本年度は弘前藩関係資料調査を重点的に行った。弘前市立弘前図書館所蔵『弘前藩庁日記』(「国日記」と「江戸日記」)の天明期および寛政期部分を写真撮影し、内容の分析を行った。藩政における「音」および「楽」とのつながりの一側面として、藩主の日常のなかに組み込まれた儀礼、また儀礼の種類とそれを執り行う場所の関係、またそれらを遂行した顔ぶれに着目して資料をピックアップした。 さらに弘前藩との対比として、現在の青森県の東半分を領した盛岡藩における動向にも着目した。地方知行制をとる盛岡藩では、知行地における支配層としての給人=藩士が、知行地である村において、「音」や「楽」に関わる側面でどのような役割を任じ、影響をもたらしたかを明らかにする必要がある。そのような観点からの地方給人層の残した史料の洗い直しに着手した。仙台藩における地方給人の記録には、支配農民の子弟らに、謡を教授したこと、またその謡のテキストを支配農民の子弟らが、地方給人の家に来て書き写していたことなどが描かれており、そのような関係性の中で、村における「音」や「楽」に対する関心や素養が醸成されていった可能性は盛岡藩でもあり得たと考えられ、引き続きの調査が必要である。 また、明治初期にハリストス正教会を受容した北東北太平洋岸においては、正教会の聖歌を会堂ごとに歌えるようにするため、聖歌の教師の派遣が要請された。明治初期のハリストス正教会は、明治初期の日本における西洋音階流入の重要なポイントの一つであり、北東北においても、聖歌の教師が待ち望まれたこと自体が、当該時期の「音」や「楽」を取り巻く意識を考えるうえで見逃せない点である。本年度はこれらの聖歌教師の足取りを、正教会の機関誌である『教会報知』により、ある程度把握することができた。これはこの地方における文化の「北からのグローバル化」の視点構築につながるものと考えている。
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[Presentation] 釈奠と楽2013
Author(s)
武内恵美子
Organizer
国際日本文化研究センター共同研究会
Place of Presentation
国際日本文化研究センター(京都府京都市)
Year and Date
20131206-20131206
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