2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23652168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
HAYASHI Brian 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30314165)
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Keywords | 黄禍論 / 米軍 / 人種 |
Research Abstract |
本プロジェクトは「黄禍論」(Yellow Peril)が米軍及びそのインテリジェンス分野に与えた影響を、事例を取り上げ、一次史料を通して解明することで、従来の研究ではあまり注目されてこなかったインテリジェンス領域と人種問題との関係を歴史的に検証し、第二次世界大戦前後における、アジア系アメリカ人をめぐる歴史に新たな視点を与えることを目的としている。その目的はほぼ達成した。 報告者は、2012年8月から9月上旬に米国に滞在し、当研究対象とするKilsoo Haanに関する一次史料の収集に努めた。調査の過程で、彼に関する新たな史料を発見することはできたが、関係史料が予想以上に膨大であることも解ってきたため、今後も継続した調査が必要であると考えている。 これまで収集した一次史料に基づいた分析結果は、1920年代以降第二次世界大戦終了まで、「黄禍論」が米軍とくにインテリジェンス分野に、ほとんど影響を与えていなかったことを判明した。このプロジェクトは、歴史一次史料への徹底的な分析から得た結果が、インテリジェンス領域と人種問題の枠組みの下で、従来に大まかに記述してきた太平洋戦争や第二次世界大戦中に、アジア系アメリカ人をめぐる人種問題と異なる結論がでた。 一方、1930年代から40年代における、関係の一次史料は、アメリカ海軍・陸軍情報局史料を中心に調査を完了することができた。この時代の史料を基に、Kilsoo Haanの考える黄禍論がどのように形成されたのか、その背景に関する考察を行い、その成果の一部は2012年8月、アメリカ歴史学会において発表した。 なお、本プロジェクトの研究成果の一部であるKilsoo Haanに関する研究成果と、学会発表でのフィードバックを基に論文執筆を行い、アメリカ歴史学会誌Pacific Historical Reviewに投稿、査読を経て掲載されることとなった。
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