2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23652175
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
新里 貴之 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40325759)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 洞穴 / 縄文時代人骨 / 洞穴環境 / グスク時代(中世) / グスク系土器 / 祭祀の場 |
Research Abstract |
今年度は、大山水鏡洞と鳳雛洞の潜入調査を実施した。 大山水鏡洞では、洞穴奥部にある縄文時代人骨ケイブマン(仮称)の死亡時環境調査を、洞穴内の動物骨、陸産貝類から行なった。その結果、動物骨は小さなネズミ以外は、ほとんどが鳥類である可能性が高まった。また、地上から天井へ亀裂あるいは竪坑から、泥などとともに陸産貝類が流れ込んできた痕跡があり、それは現在は塞がっていた。陸産貝類については、その穴を通ってこのホールに流れ込み、死滅したと考えられた。つまり、鳥類やカタツムリなどが入り込むルートはあった可能性があるものの、ケイブマンがどうやって洞穴奥部のホールにまでたどり着けたのか、未だ不明のままである。 鳳雛洞では、ほぼ1個体分のグスク系土器が3か所に存在し、それが自然の天井部崩落の段差を利用したテラスに置かれていることを確認した。グスク系土器は、煤の付着がみられるものの、継続的についたものではなく、炉らしきものもない。土器周辺には木炭粒が確認されるが、それが薪のような火力の強いものでもない。土器は2~4分割され、同じテラスに置かれている。また、南島の洞穴で通有の海産貝の出土も全くなく、牛の骨が多量に採集された。このような状況から、この洞穴は特殊な祭祀の場であった可能性が示唆された。採集された土器の煤を放射性炭素年代測定にかけたところ、11~12世紀のものとされ、年代の分かる中国陶磁器を伴わない沖永良部島のグスク系土器の年代が初めて明らかにされた。またこれは、奄美諸島で通有の土器であり、奄美諸島のグスク系土器年代の一端が判明したことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通りである。土器の年代測定のほうは、当初計画よりも早く遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
大山水鏡洞は、測量器材を持ち込めないほどの狭さであるので、洞穴探検部の簡易測量結果を利用し、陸産貝類が流れ込んできた亀裂の位置を、精密な写真撮影によって押さえたい。 鳳雛洞では、人類活動のある洞穴開口部付近の測量調査を行う。また、得られた遺物の位置をプロットする。 得られた動物骨の放射性炭素年代測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的に研究者および測量者の旅費で遂行する。また、洞穴内の照明のレンタル代や道具類の輸送費に用いる。出土した遺物の整理は、大学院生のアルバイトで行う。
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Research Products
(10 results)