2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23652176
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石丸 恵利子 徳島大学, 埋蔵文化財調査室, 特任助教 (50510286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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Keywords | 同位体考古学 / 資源利用 / 動物考古学 / 安定同位体分析 / 交流 / 流通 |
Research Abstract |
本研究は、日本列島の人の移動および交流・流通研究を進展させるため、縄文時代から近世までの長きにわたり、列島各地で食料や利器などの道具の素材として利用されてきた海産貝類の運搬や流通に注目し、「日本列島貝の道」を解明するために遺跡から出土した貝類データの集成と同位体分析による産地推定を実施し、それらの結果から交流・流通について考察するものである。 最終年度は、昨年度までで遅れていた貝殻の炭素・窒素安定同位体分析の前処理方法の確立のための作業を中心に行った。現生資料によって一連の作業を実施し、同位体比測定用の試料抽出を行うことができたが、測定には多くの分量が必要であることが明らかとなり、破壊を最低限に抑えなければならない貴重な遺跡資料について今後どのように扱っていくかが課題となった。 研究期間内に、日本列島全体を通した遺跡出土貝類遺存体および貝製品のデータを集成し、当時食料として利用された貝の種類や利器として利用した種類について、各地域での利用貝類の特徴について論じるための情報をえることができた。また、資料調査を通して、実際に産地推定のための同位体分析を許可していただけそうな機関の協力を得ることができた。なお、今回の研究期間内には、最終的な分析結果を提示することができなかったが、基礎資料については十分データを得ることができ、貝類の産地推定という新しい手法とその貝類利用についての考察を深めるための基盤を形成することができたといえる。貝殻の産地推定のための同位体分析については、今回の試みでとどまることなく、今後も引き続き追究をつづけていき、よりよい処理方法を検討していく計画である。また、最終年度は特に成果発表が十分でなかった点を反省するとともに、得られた出土貝類データを用いた貝類利用の変遷や地域的な特徴については、今後もちろん論考として成果を公開する所存である。
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