2012 Fiscal Year Research-status Report
多元的医療行動の民族誌的記述とその活用に関する実証的・理論的研究
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23652192
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
増田 研 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (20311251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 歌織 佐賀大学, 男女共同参画推進室, 助教 (40547999)
波佐間 逸博 長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 助教 (20547997)
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Keywords | 医療多元論 / エチオピア / ブルキナファソ / コミュニティー・ヘルス / マラリア / 伝統医療 / 治療希求行動 / 健康希求行動 |
Research Abstract |
平成24年度には2名の研究協力者をアフリカに派遣した。和田直美(長崎大学)は本プロジェクトの一環として西アフリカのブルキナファソに渡航し、マラリア治療希求における医療多元性の調査を行い、修士論文を執筆した。また上村知春(長崎大学)と増田は、エチオピア・アムハラ州における伝統的医療と住民の多元的医療行動、とりわけ聖水の利用に関する追調査を行った。 ブルキナファソ中西部ナノロ近郊では、マラリアワクチンのプロジェクトによる介入の有無、都市部からのアクセスなどの基準により、住民の治療希求行動が対照的な2村を選択して世帯調査ならびにインデプスインタビューを実施した。発熱時の医療機関への受診はヘルスポストの有無やアクセスによって大きく左右されることが判明したが、より重要なのはマラリアの重症度に応じて住民の医療行動が変化することである。本調査の結果によれば、医療側による軽症マラリア/重症マラリアの区分が住民によって流用され、住民が重症と判断した発熱疾患については医療機関への治療希求を選択しないばかりか、その病因論として呪術が説明原理として参照されることが判明した。 エチオピア・アムハラ州においては、前年度に実施した民俗的病いと伝統治療に関する調査の追調査を実施した。西ゴッジャムの農村部において、特定の父系出自集団において実践されてきた儀礼「ヤベット・リゲッド」が実施されなくなったプロセスにおいて、近郊の教会であるテケステ教会とその聖水の出現が契機となったことはすでに明らかとなっていたが、それが1990年代末という比較的近年の出来事であることを突き止め、伝統医療の衰退が近年になって急速に進んだことが明らかとなった。このことはまた、エチオピアにおける保健プロジェクトとそれによる啓発活動の浸透、さらには行政による「有害な伝統的慣習の禁止」政策の進展と期を一にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、当初エチオピアとケニアにおいて調査を実施する予定であったが、コミュニティーヘルスと伝統医療の関連において多元的医療状況を観察するという目的のために、ケニアからブルキナファソへと調査対象地を変更した。そのため東アフリカの2国の比較ではなく、東アフリカと西アフリカの特定地域を比較することに軌道修正を行った。 本研究課題の中心的なテーマである、多元的医療状況とコミュニティーヘルスとの関連については平成24年度の調査を持って一応の成果を見たと考えている。最終年度である平成25年度はその成果の公開を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において計画された調査はすでに終わっており、最終年度である平成25年度はその成果公開を行う予定である。成果は日本ナイル・エチオピア学会の学術誌であるNilo-Ethiopian Studiesに投稿するほか、日本アフリカ学会の『アフリカ研究』への投稿も計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は成果公開およびその準備のために研究費を使用する。具体的には参照資料や文献の収集ならびに校閲に用いる。
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