2013 Fiscal Year Annual Research Report
トランス・ジェンダーの医療人類学、タイと日本の比較研究
Project/Area Number |
23652198
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Research Institution | 藍野大学短期大学部 |
Principal Investigator |
高垣 政雄 藍野大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70252533)
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Keywords | トランスジェンダー / 性別適合手術 / ヘルスケア / エスノグラフィー / 医療人類学 / タイ / 日本 |
Research Abstract |
本件研究の主な目的である性別違和の病態論を医療人類学的に記述することが出来た。性別違和の語りは、ジェンダー発現が生来的に入れ替わっていること、そしてそれは普遍的な現象で有ると考えられた。当事者は本来の性を求めて過酷な生涯プロセスに必然的に入って行かざるを得ないことに病態の本質をみることが出来るとし、そこに病としての性別違和の[病理]を見出した。彼らの人間的・道徳的な体験は最早正当に扱われるべき病理形態と見なされるとして研究の成果を以下の通り報告した。 25年度は最終年度として3年間の研究成果のまとめと本研究の総括を行なった。23,24年の本研究データをまとめ京都大学人間・環境学研究科共生文明学専攻修士課程を終了し、25年3月25日京都大学より修士(人間・環境学)を授与された。25年4月より同博士後期課程にて研究を継続している。研究期間全体の研究成果を藍野学院紀要26巻に総説として報告した。さらに26年2月バンコクにおいて開催された第23回WPATH国際会議において2題の演題を口頭で発表報告し、バンコクフィールドドワークを合わせて実施した。研究成果を臨床的に応用する目的で引き続きジェンダー外来において当事者(患者)のカウンセリングと性別適合医療を継続して実施している。学生指導として藍野大学短期大学部専攻科地域看護研究においてトランスジェンダー研究指導を行い成果を発表した(市橋弘子、今井真央、落合小百合、川越未来、能城久美子、柴田真理子、高垣政雄 トランスジェンダーの医療人類学的研究- 性別適合手術による性別違和感の語りの変容 藍野学院紀要、査読中2014)。 最後に、本研究を発展的に展開し当事者のヘルスケアを目的にタイのトップサージェリーによる性別適合医療を国内で実施するために研究代表者をプロジェクトリーダーに大阪府下の公立病院倫理委員会に研究治療(性別適合手術)実施の承認を申請中である。
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Research Products
(9 results)