2011 Fiscal Year Research-status Report
社会保障分野での人権の政策アプローチに基づく人権指標の開発に係る総合的学際的研究
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23653016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊池 馨実 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10261265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棟居 快行 大阪大学, その他の研究科, 教授 (00114679)
秋元 美世 東洋大学, 社会学部, 教授 (00175803)
井上 英夫 金沢大学, 法学系, 教授 (40114011)
岡田 正則 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40203997)
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
棟居 徳子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (50449526)
神 陽子 淑徳大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (50579258)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 社会保障法 / 国際人権法 / 人権指標 / 政策評価 |
Research Abstract |
研究初年度において、本研究プロジェクトは、計5回の研究会を行った。うち4回(2011年4月24日、6月25日、10月1日、12月16日)は、「人権指標」の開発と「政策アプローチ」という本研究の斬新性に鑑み、分野の異なる多くの研究者の共通の議論の土台を模索し構築するとの観点から、各共同研究者による本研究テーマに関連する報告を行い、忌憚のない議論を行った。後述するセミナー開催を経て、一定程度研究会としての共通了解が得られた2012年3月2日には、生存権研究で重要な業績を挙げている葛西まゆこ准教授(東北学院大学)を招聘し、「人権指標」や「政策アプローチ」にかかる憲法学研究からの知見を得ることができた。こうした一連の研究会における発表を準備報告と位置づけ、一部の研究会メンバー(棟居快行、棟居徳子、神陽子)が、2011年11月6日国際人権法学会第23回研究大会(北海道大学)においてインタレストグループ報告を行った。学会では、日本でまだなじみのない人権の「政策アプローチ」という視点や「人権指標」の開発及び活用にかかる本研究の趣旨を明らかにするとともに、国際レベルにおける「政策アプローチ」や「人権指標」の基本的事項を中心に報告を行った。2012年2月初旬には、国際人権法及びヘルス・ローの研究者であり、現在、Monitoring the Right to Health: A Multi-Country Study"プロジェクトを主催し、世界各国の健康権の状況についてモニタリングを行っているオランダのBrigit Toebes氏を招聘し、事前打ち合わせを兼ねた数回のクローズドの研究会を経て、国際人権法セミナー「国際人権法上の健康権の国内実施:人権指標の活用の意義と課題」を主催した(2月4日。大阪大学)。研究会メンバーのみならず多くの参加者を得て、有益な議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の主要な活動として見込んでいた研究会、国際人権法学会グループ報告、Brigit Toebes氏を招聘してのセミナーは、その準備も含め、概ね順調に行うことができた。「人権指標」の開発と「政策アプローチ」という本研究の斬新性に鑑み、分野の異なる多くの研究者の共通の議論の土台を模索し構築することが先決であるとの共通了解の下、各共同研究者による研究会での議論の刷り合わせに時間を要したため、国内法における具体的な人権指標の開発にかかる研究には着手できていないものの、今後の研究の方向性については概ね共有できている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究の積み重ねを通じて、国内法における社会保障制度全般あるいは生存権・社会権にかかる「政策アプローチ」による「人権指標」の開発は、先行している国際レベルでも包括的な取り組みとしては行われておらず、具体的な政策へのインパクトとしても実効性に乏しいという共通了解に達した。このため、今年度は、漫然と抽象的な指標の開発に取り組むのではなく、各研究者が得意とする個別具体的な社会保障分野に焦点をあて、それぞれ具体的な「人権指標」の開発を目指して取り組むこととする。そのための研究会を6回開催する。またその際、前年度に引き続き、国内の有力な国際人権法・憲法等の研究者を3回にわたって招聘し、研究に際して有益な知見を得ることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者に割り当てる研究費は、国内の有力な国際人権法・憲法等の研究者を3回にわたって招聘し、研究に際して有益な知見を得るための招聘旅費・謝金などに大半を使用する。このほか各研究分担者に配分される研究費は、本研究にかかる研究会のほか、今年度も前年度に引き続いて行う国際人権法学会報告(東京)のための旅費等、本研究の遂行に資する図書の購入などにあてられる。
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