2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653028
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
宮崎 秀一 弘前大学, 教育学部, 教授 (60166147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯 考行 弘前大学, 人文学部, 准教授 (40367016)
平野 潔 弘前大学, 人文学部, 准教授 (70400124)
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Keywords | 市民の法感覚 / 裁判員経験の共有 / 法教育 |
Research Abstract |
本研究は、裁判員制度の一層円滑な実施と改善を目的に、「国民の司法参加」を標榜する裁判員制度の核心である「一市民としての裁判員」という視点から制度の有効性と課題について検証を行うことを目的とした。検証は以下のとおり、3つの手法を用いた。 ①「裁判員裁判法廷傍聴による裁判員発言のモニタリング」は、平成25年度も青森地裁のほぼすべての裁判員裁判について、実施することができた。3カ年で約40件を傍聴した結果、メディア報道されない発言の中にも市民の視点ならではの内容が多く含まれた。裁判員の思い・感覚が実際の評議でいかに扱われるかの分析は、現行制度下では困難であるが、制度改善の検討には不可欠と思われる。 ②「裁判員経験者インタビュー」は、経験者へのアクセスが難しい中、3年間で数名に対して実施し、裁判員の職務および就任前後の変化、裁判参加への阻害要因などについて裁判員経験者を含むシンポジウムを実施した(今年度は11月3日「裁判員裁判へのアクセス―より裁判員を務めやすい環境整備に向けて」)。 ③「模擬裁判員裁判」は、模擬裁判員裁判教室を、中学生、高校生、大学生を含む一般社会人を対象に毎年実施し、実際の裁判員裁判傍聴に即した模擬評議も前年度に引続き行った。特に、研究代表者、研究分担者による大学授業においては、模擬裁判のシナリオ作成から上演までを体験的に実習させた。裁判員として求められる能力・技能の育成を、法教育の一環としてどう位置づけるかについて、今後の基本枠組の構築を可能にした。 裁判員制度は、市民・裁判員の視点から見ると、一般傍聴者への立証過程の部分的表示、裁判員経験者の体験公表の制約など、なお課題もある。また、学校現場への聞き取りから、制度発足時に比して中高生などに対する啓発が鈍化していると思われる。本庁のみならず、支部においても裁判傍聴を含め参加体験的理解を促す積極的働きかけが期待される。
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