2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
潮海 久雄 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80304567)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 特許権 / 技術標準 / 独占禁止法 |
Research Abstract |
まず、技術標準の問題について、ヨーロッパの競争法(独占禁止法)を中心に、日米の競争法との比較をおこなった。その際、マックスプランク知的財産法研究所、LMU(ミュンヘン大学)での文献収集および調査をおこなった。欧州で現在問題となっている裁判例を類型化し、かつ、裁判所で技術標準の問題を解決することがどのような問題点が生じており、どのような解決手法が求められているのかを、日米の競争法と比較しつつ明らかにした。わが国ではアメリカ法を中心にかつ独禁法の研究者が主にこの問題にとりくんでいるが、アメリカ法やアメリカの裁判例の検討と異なる問題が生じている。たとえば、ヨーロッパ法とドイツ国内法との関連が問題となっている。 現在は、技術標準の問題について、知的財産権の側から、独占禁止法との接合面を検討している段階である。技術標準の特許権の行使は、この知的財産法と独占禁止法の相克が一番大きく現れる場面であり、その制御には多くの困難が伴うことを明らかにしつつある。これについても、米国の特許訴訟および欧米の学説と比較ししつつ検討をすすめている。近時、欧米で訴訟が急増しており、多くの問題が生じている。あわせて、訴訟外でも、多くの場合があり、多くの問題が生じているという仮説のもとに、実務関係についても調査を鋭意おこなっている。 具体的な成果の公表は平成24年度ないし25年度の予定であるが、その前提となる問題については原稿を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧州のマックスプランク知的財産・競争法研究所に滞在し、資料収集以外にも、さまざまな基礎的研究の蓄積にふれているのが大きいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、欧州の知的財産法、独占禁止法を、日米のそれらと比較しつつ、および、法と経済学やイノベーションとの関連を検討する。 今後の裁判例や解決に向けた動向に着目しつつ、資料収集、分析をおこなう予定である。その上で、具体的な成果を何らかの形で公表したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
欧州の知的財産法および競争法の研究の中心である、マックスプランク知的財産法・競争法研究所に滞在しているため、往復の旅費等の海外調査研究費を支出する必要がなくなったため、平成23年度の研究費に残額が生じた。 平成24年度に請求する研究費にその残額を繰り入れたが、今年日本に帰国予定(10月末)以降に、再び、欧州ないし米国での海外調査研究、具体的には、資料収集、聞き取り調査、研究会・ワークショップの参加等に使用する予定である。
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