2011 Fiscal Year Research-status Report
日本の裁判所における国際環境法の適用 ー 活用のための基盤構築をめざして
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23653034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 郁 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40194617)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 裁判所 / 国際環境法 / 国内適用 / 国際人権法 |
Research Abstract |
本研究は、日本の裁判所における国際環境法の適用の実態と特質を実証的に解明し、そして、国際環境法の効果的実施において国内裁判所がいかなる役割を演じてきたか、国際環境法の適用に障害があるとすれば、その障害がいかなるものか、障害を解消するためにいかなる法制度・政策が必要かを明らかにすることを目的とする。 平成23年度は、これまで日本の国内裁判所において国際環境法が適用/援用された事案をできるかぎり網羅的に収集することを行った。収集した判決例のリストを作成し、分析を行った。その分析結果については、国際法、行政法、環境法の研究者を中心とする研究会において報告を行い、そこでの意見、助言を受けて、さらに検討を進めている。また、他国の国内裁判所における国際環境法の適用に関する文献調査を進めるとともに、日本の裁判所による国際人権法の適用例の分析を進めた。 国際環境法の判決例のデータベースを作成し、情報基盤として研究者のみならず、法律実務家や市民に広く一般に供することがこの研究の目的の一つであるが、そのためのデータベース作成とホームページの作成の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、当初予定していた、国際環境法が適用・援用された判決例の網羅的収集は2008年の判決例まで終えることができ、その概括的検討と国際法、行政法の研究者からの評価・助言を得ることができている。これらの収集した判決例のさらにふみこんだ分析が今後の課題となる。日本の裁判所による国際人権法の適用事例の分析もおおむね予定通りである。国際環境法が適用・援用された事例のデータベース作成の準備もおおむね予定通りであるが、ホームページを作成しデータベースを構築して公開を行うことになるが、そのホームページ作成作業が若干遅れており、これが平成24年度の課題となる。また、他国の国内裁判所における国際環境法の適用事例に関する文献調査がいくつかの国の事例研究を進めているが、その作業に若干の遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究実施計画に記載の通り、平成23年度に続いて、日本の裁判所において国際環境法が適用・援用された判決例のさらなる分析作業を本格的に進める。他国の国内裁判所における国際環境法の適用・援用に関する文献調査と、日本の裁判所による国際人権法の適用例の分析をさらに進め、その結果を踏まえて、(1)他国の裁判所における国際環境法の適用との比較と、(2)日本の裁判所による国際人権法の適用との比較に重点を置く。分析の過程で、必要に応じて、弁護士など実務家への聞き取り調査、他国の適用例に関して現地での聞き取り調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際環境法が適用・援用された判決例を収集したものを利用してデータベースを作成し、それをホームページ上で公開を行うことになるが、そのホームページ作成作業が若干遅れたこと、他国の国内裁判所における国際環境法の適用事例に関する文献調査作業に若干の遅れがあるため、平成24年度にその分を使用することとなった。 平成24年度は、平成23年度に続いて、国際環境法が適用・援用された判決例のさらなる分析を行い、それを基礎に、(1)他国の裁判所における国際環境法の適用との比較と、(2)日本の裁判所による国際人権法の適用との比較に重点を置いて検討を進める。判決例の分析の過程で、必要に応じて、弁護士など実務家への聞き取り調査、他国の適用例に関して現地での聞き取り調査を実施する。それらのために研究費を使用する予定である。
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