2012 Fiscal Year Research-status Report
日本の裁判所における国際環境法の適用 ー 活用のための基盤構築をめざして
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23653034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 郁 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40194617)
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Keywords | 裁判所 / 国際環境法 / 国際人権法 / 国内適用 |
Research Abstract |
本研究は、日本の裁判所における国際環境法の適用の実態と特質を実証的に解明し、そして、国際環境法の効果的実施において国内裁判所がいかなる役割を演じてきたか、国際環境法の適用に障害があるとすれば、その障害がいかなるものか、障害を解消するためにいかなる法制度・政策が必要かを明らかにすることを目的とする。 平成24年度は、平成23年度に続き、これまで日本の国内裁判所において国際環境法が適用/援用された事案をできるかぎり網羅的に収集することを行うとともに、国際人権法が適用/援用された事案を他の研究者の協力も経て判決例を分類整理し,分析を行った。その分析結果については、国際法、行政法、環境法の研究者を中心とする研究 会において報告を行い、そこでの意見、助言を受けて、さらに検討を進めている。また、他国の国内裁判所における国際法、特に、国際環境法、国際人権法の適用に関する文献調査を進めた。 国際環境法の判決例のデータベースを作成し、情報基盤として研究者のみならず、法律実務家や市民に広く一般に供することがこの研究の目的の一つであるが、そのためのデータベース作成とホームページの作成の準備を進めており最終年度には立ち上がるところにきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、当初予定していた、国際環境法が適用・援用された判決例の網羅的収集は2009年の判決例まで終えることができ、その概括的検討と国際法、行政法の研究者からの評価・助言を得ることができている。これらの収集した判決例の分析結果をまとめ公表することが最終年度の課題である。日本の裁判所による国際人権法の適用事例の分析もおおむね予定通りである。国際環境法が適用・援用された事例のデータベース作成の準備もおおむね予定通りであるが、データベースを載せるホームページ作成作業が技術的理由で若干遅れており、これが最終年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、前述のように、これまでの分析の成果をとりまとめて公表すること,特にデータベースの形で公表するために、研究とその対応を進める。2010年以降のできるだけ直近の判決例についても収集し、分析の対象に加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のように、次年度の研究費は、主として、2010年以降の判決例の収集と分析、並びに、データベースの形を含むこれまでの研究成果の公表に重点を置く。
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