2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653043
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
濱中 新吾 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (40344783)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イスラーム政治運動 / 政治変動 / アラブの春 |
Research Abstract |
本年度は研究協力者による研究の遂行、ならびに成果報告と研究代表者によってなされた関連領域の研究遂行・成果報告が中心となった。研究協力者である横田貴之(日本大学)と吉川卓郎(立命館アジア太平洋大学)がそれぞれエジプトとヨルダンのムスリム同胞団について昨年7月2日開催の研究会で報告した。また末近浩太(立命館大学)がレバノンのヒズブッラーについて昨年11月5日の研究会で報告した。高岡豊(中東調査会)はイスラーム過激派に関する研究論文の草稿を研究会内部で回覧している。以上、研究協力者による研究成果は今年度中にとりまとめ、査読付き学術雑誌に特集企画として投稿予定である。研究代表者は上智大学の依頼でシンポジウムや研究会での報告を三回行った。これらの報告は2011年初頭に発生し、今日まで続くアラブ諸国の政変、いわゆる「アラブの春」に対して比較政治学の立場から説明を試みたものである。平成23年度はこのような現実に生じた政治社会構造上の「地殻変動」をイスラーム政治運動が主体となって引き起こすとともに、エジプトのように変動によって利益を享受したり、あるいはヨルダンのように変動が生じず政治社会構造上の秩序に再編されたりすることとなった。中東全域を覆うことになった「アラブの春」は情報通信技術の革新によって過去に類を見ないほどのスピードと広がりをもったが、一方でイスラーム思想が政治変革を求めるスローガンとして目立つことはほとんどなく、各国を連帯させるメッセージを生み出すこともなかったようである。このことはイスラーム運動が国境の枠内にとどまってきたとする従来の知見を再確認することにもなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は研究協力者による活動の遂行と研究会による成果報告が予定通り進行した。ゆえに研究代表者の当該分野に於ける知見は格段に深化した。現在、研究協力者の成果をとりまとめて査読付き学術雑誌に投稿する準備を行っている。その一方で「アラブの春」を説明するという社会的要請に応える必要があったこともあり、研究代表者・協力者ともに本研究計画を前倒しにするほどのリソースを割くことはできなかった。具体的に言えば、研究代表者は権威主義体制の与党や軍部に注目した政治変動分析に追われ、イスラーム政治運動・イスラーム主義政党の調査分析に十分な時間を割くことができなかった。ゆえにおおむね計画は順調に進展している、という評価を下すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は前年度の研究成果を公刊論文として発表するとともに、これに触発された研究代表者自身の研究を遂行して成果を問いたい。研究代表者はパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマースに対し住民が与える支持態度の構造を、西岸地区を支配するファタハ政府と比較分析する。またイラク研究者である山尾大(九州大学)と共同研究を行い、イラク・イスラーム政党の支持構造の分析も行う予定である。これらの研究により、イスラーム主義政党の主張や掲げる政策ならびに「与党」としての統治実績が有権者からどのように評価されているのかを推し量ることができる。別件のプロジェクトによって得られた世論調査データを用いて、パレスチナ社会およびイラク社会に於けるイスラーム主義政党の実相を描き出すことができるだろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究内容は国内外の学会において報告される予定である。具体的には7月にスペイン・マドリードで開催されるInternational Political Science Associationの大会でパレスチナのイスラーム主義政党に関する報告を行い、10月に福岡で開催される日本政治学会年次大会においてイラクのイスラーム主義政党について報告を行う。それゆえに研究費は英語論文の校閲、ならびに海外旅費・国内旅費として使用される割合が高くなるだろう。
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Research Products
(3 results)