2011 Fiscal Year Research-status Report
「コンパクト(協約)」型の平和構築戦略のモデル化とその立体的な運用を目指して
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23653045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星野 俊也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 平和構築 |
Research Abstract |
ポスト紛争国の平和構築過程では、現地と国際社会の双方のコミットメントを前提とした戦略の実施が不可欠との認識が共有されているが、その研究は専ら事例ごと、イシューごとの断片的なものにとどまっていた現在の実務や研究の世界での現状に一石を投じるため、本研究は、こうした戦略文書を「平和構築コンパクト(協約)」と一般化したうえで、実際に複数のポスト紛争国の現場で運用されている計10個の「コンパクト」型の戦略とその実施状況を詳細かつ綿密に比較し、さらにフィールド調査に基づき現地のニーズやプログラム実施及び資源動員の現状と課題を検討するという目的で研究計画を進めているが、本年度は、各事例に関する「コンパクト」の資料収集に加え、外務省や関係国際機関のご支援を得て、旧ユーゴスラビアでの焦点の一つであったコソボ地域での現地調査を実施できたことは特筆に値する。また、本科研研究事業を含む当研究代表者の平和構築分野での業績が評価され、ノーベル平和賞受賞者のアハティサーリ前フィンランド大統領の来日記念講演会のコーディネーション(笹川平和財団の主催)や同大統領との対話などが実現したことも、大きな経験であった。また、著作や学会報告のかたちでの業績記録には残らないが、所属する日本国際政治学会、日本国際連合学会、国際安全保障学会の研究企画担当役員として平和構築分野でのパネルの企画や運営に寄与しており、それも本科研研究を深めていっている過程での成果に位置づけられるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集と現地調査と研究報告のバランスを保ちつつ、研究は順調に深まりを見せているものと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目となる本年度には、1年目に収集した各「コンパクト」に関するデータを一定の枠組みの下に比較分析をする視座を構築したい。そのうえで、さらなるフィールド調査や研究報告に結び付けていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年度目となる本年度には、ネパールの現地調査を行うこととする。これは、1年目に収集したネパールの「暫定貧困削減枠組み」を「コンパクト」の一般形式の事例研究の一つとするほか、紛争後の平和構築を促進するという「コンパクト」の所期の目的を戦略的に実施するにあたっての課題等について調査する。また、予算が許す範囲で、中国にも訪問をして、国連安全保障理事会の常任理事国の立場にある中国政府が、「コンパクト」作成や実施のプロセスの中で果たす役割について調査する。 以上の2つの調査が経費の多くを占めると思われるが、資料整理のための学生アルバイトの雇用や、研究書を含む書籍・資料などの購入も一定程度必要になるものと推計している。
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Research Products
(22 results)