2013 Fiscal Year Annual Research Report
「コンパクト(協約)」型の平和構築戦略のモデル化とその立体的な運用を目指して
Project/Area Number |
23653045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星野 俊也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
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Keywords | 平和構築 / コンパクト / 人間の安全保障 |
Research Abstract |
ポスト紛争国の平和構築過程では、現地と国際社会の双方のコミットメントを前提とした戦略の実施が不可欠との認識が共有されているが、従来の研究は専ら事例ごと、特定イシュー分野ごとの断片的な分析に限られていたなか、実務と研究の更なる発展に資するべく、本研究では、これらの戦略文書を「平和構築コンパクト(協約)」と一般化し、トータルに分析する視座を提供した。 具体的には、複数のケースを並列・比較対照し、その成否を検討する指標として、関係主体間における①パワー配分度、②ガバナンス正統度、③能力強化度、④対話進展度、⑤財源動員度の5つを設定した。これをもとに、構想調書で提起した10事例(コソボ、スーダン、アフガニスタン、リベリア、コンゴ民主共和国、イラク、東ティモール、ネパール、ブルンジ、シエラレオネ)の分析を進めたが、合わせて研究期間中に急展開が見られた東南アジア(タイ南部、フィリピン南部、及びミャンマーの少数民族問題)や「アラブの春」による政治変動を経験した中東・湾岸地域情勢についても情報収集を行った。その成果は、香港等海外での国際学会での発表のほか、国内では日本国際政治学会、日本国際連合学会、国際安全保障学会での議論をリードした。コソボ問題では、現地調査に加え、コソボ及びインドネシア・アチェ和平に貢献し、ノーベル平和賞を受賞したアハティサーリ元フィンランド大統領との意見交換が実現したことは特筆に値する。 本研究が提示した「平和構築コンパクト」の視座は、紛争後の新生国家の機能など制度的側面に注目しがちな従来の研究に、新たに「人間の安全保障」の視点を恒常的に加味する道筋を提供できた点でも有益であったと考える。
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Research Products
(12 results)
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[Book] New Approaches to Human Security in the Asia-Pacific2013
Author(s)
William T. Tow, Li Jia, Yu Xiaofeng, Ren Xiao, Li Yanxing, Zhang Jiadong, Zheng Xin, Toshiya Hoshino, Haruko Satoh, Yasunobu Sato, Kiichi Fujiwara, Satoshi Yamamoto, Kaoru Kurusu, David Walton, Daisuke Akimoto, Rikki Kersten, Gregory MacCallion, Edward Newman
Total Pages
230(63-77)
Publisher
ASHGATE
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