2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653049
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
町野 和夫 北海道大学, その他の研究科, 教授 (20280844)
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Keywords | 社会的厚生 / 豊かさ / 幸福度 |
Research Abstract |
本研究は,社会規範が形成される前提として人間の利他性や互恵性が内生的に形成されるメカニズムを明らかにしようとするものである。ただし,過年度の実施状況報告書において述べたように,23年の東日本大震災と原発事故を受けて,当初予定していた数理的モデルとは別に,人々の価値観の変化を,個人の内面からだけではなく,家族や地域社会との関係からも考えるという方向に計画を修正した。 昨年度はこれまでの社会指標や幸福度に関する研究をサーベイし,豊かさ指標としてGDPや主観的幸福感を使うことの意味や限界を検討した上で,北海道の二地域における小規模アンケートから地域別「豊かさ指標」を試作した。しかし,この総合指標は,構成する個別指標が客観的データと主観的データの混在であったため,解釈上あるいは技術上の問題を抱えていた。今年度はそれらを分析し,個別指標を主観的データのみにするなどの変更を加え,アンケート調査も行い,新たな「豊かさ指標」を作成した。新指標は,主観的データのみから構成することで作成方法が簡単化し,整合的な地域間比較も可能になった。研究の過程では(23年度に本研究担当者が中心となって立ち上げた)研究科内の地域経済経営ネットワーク研究センターや,日本とスウェーデンの都市計画,地理学,地域医療,経済学等の研究者による地方の社会資本に関するワークショップ(学会報告の欄を参照)で報告をし,異分野を含む多くの研究者との意見交換から有益な示唆を得た。 新指標は生活の様々な側面における満足度という主観的データ基づくものなので,具体的政策への応用には分野ごとの実証研究が必要であるし,社会規範形成メカニズムの解明についても本研究のみでは不十分だが,継続して作成していけば,個人的属性や地域による違いなど重要な知見が蓄積されてこの分野における研究に貢献できる。萌芽研究としては十分な役割を果たしたと言えよう。
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Research Products
(3 results)