2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋田 次郎 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10302069)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 経済理論 / 経済数学教育 |
Research Abstract |
本研究計画は、経済学及び経営学の為の数学(以下、経済数学と称す。)教育におけるイメージを重視した直観的理解を促す為の教材ならびにカリキュラム開発を目的とする基礎研究を行うことを目的とし、幾何学的直観、経済学的直観、それ以外の直観につき、経済数学の入門段階からより高度な段階において組織的に直観的解説・理解の為のリソースの開発を行う計画である。平成23年度は東日本大震災の影響の為に当初計画から遅延しつつも、上述の目的に適した内外の文献を探索し調達して内容の解析作業を限定的ながら進めることができた。他方、それと並行して経済学部第2年次配当用4単位科目(約30レクチャー)の経済経営数学の為の講義資料を新たに開発した。教材の開発に際しては、直観的な理解を教程に盛り込む際の現実的課題についても実際の学生の反応を参考しつつ考察を進めた。また教材の開発に際しては、購入した内外の文献に加えてインターネット上で利用可能である内外各大学の経済数学科目についても資料を収集し教程内容やベストプラクティスを調査し取材するように努めた。大学院レベルの教程に関しては講義教材という纏まった形での検討を行う機会は無かったが、より個別テーマの教材開発として、計量経済学で用いられる行列代数の直感的理解の為の考察を進めた。特に行列のクロネッカー積の性質、射影行列や線型空間の基本分解との関係などについて考察を進めた。後者の論考は未だ取り纏められていないので次年度早々に仕上げる予定である。平成23年度 東北大学経済学部 経済経営数学講義資料http://www.econ.tohoku.ac.jp/~akita/lecture/index.html
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画においては、幾何学的直観、経済学的直観、それ以外の直観につき、経済数学の入門段階からより高度な段階において組織的に直観的解説・理解の為のリソースの開発を行う計画だが、平成23年度は3月の東日本大震災の影響により研究活動全般が大きく遅延した。文献の新規調達に先立って既に蓄積されていた関連文献の整理・解析作業を予定していたのが大幅に遅延し年度内に完全には果たせなかったが、他方平成23年度は実際の教材開発とその利用を通じて、典型的教程において何についての直感的理解が求められるかについて具体的に検討する機会を得て、次年度以降に引き続き関連文献を探索整理解析する為の足がかりが得られた。幾何学的直観、経済学的直観、それ以外の直観という分類の観点からすると、平成23年度は資料探索は別として、学部と大学院レベルの教材開発の面では幾何学的直観に纏わる論考を主に重ねたのに対して、経済学的直観、それ以外のより息の長い直観に頼る検討には手が回らなかった。ある程度関係資料の整理ができた段階で速やかに本格着手する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画における幾何学的直観、経済学的直観、それ以外の直観につき、経済数学の入門段階からより高度な段階において組織的に直観的解説・理解の為のリソースの開発を行う計画のうち、経済学的直観に纏わる論考については、未だ取り纏められていない部分を早急に仕上げた上でさらに取材し引き続き論考を重ねる。他方、経済学的直観、それ以外の直観については平成23年度にほぼ手つかずに終わった為、平成24年度より本格的に着手する。資料探索調達解析も経済学的直観と、それ以外の直観に関する調査に重心を移しつつ引き続き継続する。また平成24年度も経済数学関連の科目を担当する機会があるので、そこからのフィードバックを基に引き続き資料探索調達解析活動を教育の最終的アウトプットを念頭に置いて方向に向けて軌道修正していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大半は書籍や雑誌の費用を中心とする資料探索調達解析活動費用に充てる。また平成24年度には経済数学に関するエキスパートのオピニオンを取材することも検討しておりその為の旅費・謝金にも相応の費用を充てる。
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