2011 Fiscal Year Research-status Report
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23653064
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10377137)
池田 真介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (90598567)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 電力自由化 / 卸市場分析 / 小売市場分析 |
Research Abstract |
卸市場分析については、卸電力市場(JEPX)についてのデータセットを構築した。約定価格、約定取引量、売・買い札等の市場データに加えて、東京工業品取引所における燃料価格、気温等の気象条件のデータについても整備した。このデータセットの整備を通して、推定対象となる期間中の卸市場の需給の変化や約定価格の推移について予備的な検討を加え、たとえば、最近の新規電源(ガスタービン複合火力発電所)の運転開始の影響が非常に大きく出ていることがわかった。 小売市場分析については、まず、官公庁の入札データを用いた分析結果を英文原稿にまとめ、これを学術雑誌に投稿した(現在、改訂校を審査中)。また、この分析をさらに進めて、入札行動を既存事業者と新規事業者間の非対称ゲームという形で描写し直し、この構造推定分析を行った。結果については、日本経済学会2011年度秋季大会(筑波大学)で口頭報告を行った。そこではとくに、競争促進政策という点から政策的含意を探ることとし、潜在的入札参加者の増加や、入札優遇率(新規参入者等に対して、入札額に対する一定割合のハンデキャップを与える)といった政策的介入を考えた。これらが入札への参加確率の上昇を通じて、ある程度落札価格を低下させることが明らかにされた。ただしその効果は、既存事業者が入札価格をよりアグレッシブに切り下げることがおもな原動力となって発生しているということが明らかになった。この意味で、新規参入者自体の活動が、直接に落札価格に影響する程度が小さいことは、競争政策上、これらの手法が大きな限界を持っていることを示唆するものであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卸市場に関するデータセットの構築は予定通りに今年度中に完了した。また、小売市場に関する入札データは、最新の年度について追加しつつ、更新した。これまでの研究成果についても、学会報告等の形で公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
卸市場に関するデータセットを利用して、本格的な統計分析を開始する。その際には、おもに時系列分析の手法を利用することになるであろう。また、小売市場分析については、投稿済みの論文に関する審査結果に応じて、さらなる改稿を必要とするであろう。また、同じく小売市場の構造推定分析については、おもに東京地区における入札に的を絞って分析することで結果をよりクリアに出すことを目指す。また、モデルと結果のプレゼンテーションが複雑になりがちであるため、論文内での説明に工夫を施し、よりわかりやすいまとめ方を検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、研究協力者との打ち合わせのために、国内・外国旅費として支出する。そのほか、卸市場と小売市場のデータを最新のものに更新しつつデータセットを継続的に整備するために研究補助者のアルバイト代を支出する。
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Research Products
(10 results)