2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653064
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10377137)
池田 真介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (90598567)
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Keywords | アンバンドリング / 電力自由化 / 小売市場 / 卸市場 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、電力の小売入札と卸売市場の両面から以下のような主要な結果を得た。 小売電力入札における応札意思決定と自由化の競争促進効果: 電力自由化は、規制緩和によって競争を引き起こし、これを通じて電力産業を効率化させることを目指してきた。一連の自由化施策のうち、本研究では小売部門の自由化が電気料金に与えた影響を、官公庁の入札データを用いて計測した。入札案件の内容に応じて収益性が異なることや、応札すること自体に一定の費用がかかることを考えると、電力会社が応札するか否かについて内生的に意思決定を行っている可能性が高い。実際の推定においては、この点に注意しながら検証する必要がある。本研究では、2005 年度に供給開始の入札案件約500 件の落札情報を用いて電気料金を推定し、自由化による競争促進効果を計測した。その結果、入札において競争があった場合には、とくに競争の激しい負荷率が中程度ないし特別高圧供給の入札案件で電気料金の引き下げ効果が大きく、平均的には0.48 円/kWh 程度、電気料金が統計的に有意に低下することがわかった。 前日卸売電力市場のミクロ構造分析: 2005年に日本卸電力取引所(JEPX)が開設され、卸売電力の前日取引が始まった。本研究では、ファイナンス理論に基づき、取引所の30分ごとのシステム価格を分析した。特に、first-order serial covariance of transaction returnsを分析した結果、推定されたスプレッドがS&P500の先物市場のそれよりも少なくとも50倍大きいことがわかった。このことは、現状の日本卸電力取引所は、取引コストが非常に高く、効率的な市場を形成していない可能性を示唆する。
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Research Products
(10 results)