2013 Fiscal Year Annual Research Report
要求医療サービス水準に応じた医師数・医療機関配置推定
Project/Area Number |
23653079
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
小川 浩 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (00245135)
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Keywords | 医療需要 / 医療レベル / GIS / マイクロシミュレーション / アクセス制限 |
Research Abstract |
医師不足問題が顕在化している周産期医療を例にとって、まず(1)マイクロシミュレーションによる需要推定を行い、医師不足問題は「医師の偏在ではなく分散配置と、医師の総数が不足していること」の両方が原因であることを明らかにした。 わが国には小規模病院が多数存在し、1病院あたりの分娩数は年間500件程度である。この程度の分娩数では時間外の診療は昼間のスタッフが「当直」という形で行うことになり、過労による労働安全・医療安全上の問題が発生している。分娩取扱医師数のシミュレーションの結果、現在分娩を取り扱っている産科医数(約6.5千人)で交代制勤務が可能な水準までの集約化を行った上で全国の分娩件数をカバーしようとすると全国で50病院程度までの集約化が必要となる。この水準の集約化は非現実的であり、医師の総数自体も不足していると言える(H23, H24)。 次に、(1)での医師総数不足という結論をうけて(2)医師の供給余力について、産科医の卒後年数別分娩取扱動向や18歳年齢人口の予想などを用いて推定を行った。結果としては18歳人口が既に減少期に入っていることと、指導医年齢層の医師が少ないことから急激に分娩取扱医を増やすことはできず、逆に現状の6.5千人程度を維持することが現実的なターゲットであることが明らかになった。 さらに、(1)で提起された集約化によるアクセスの劣化について、(3)国勢調査の基準メッシュから分娩取扱医療機関への到達時間をGISシステムで推定することにより評価した結果、全国平均では現在の300床規模病院まで(約600件)の集約化であれば現状より著しいアクセス低下は発生しないが、交代制勤務を実現するには病院数が多すぎ意味がない。しかし、交代制勤務が可能な水準である500床以上病院までの強力な集約化を行うと県によっては急激に状況が悪化することが明らかとなった(H24, H25)。
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Research Products
(2 results)