2012 Fiscal Year Research-status Report
超高速超高頻度データベースを用いた大規模金融データ分析
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23653081
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 教授 (10304924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 哲也 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00209165)
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Keywords | ファイナンス / マーケットマイクロストラクチャー |
Research Abstract |
本年度は、開発中である超高速高頻度データベースの、特に速度面における改良と、データベースを利用した応用分析に特に重点を置き研究を行った。 超高速高頻度データベースの開発においては、従来から利用しているデータ圧縮アルゴリズムを見直し、よりデータの入出力に必要な時間を短縮することに注力した。また、データベースの一部をより低級なプログラム言語に置き換えることにより、速度向上に努めた。 応用分析では、データベースから計算される複数の流動性尺度およびrealized volatilityを利用して、我が国株式市場に関する実証分析を行った。具体的には、 (1)アルゴリズム取引が株式流動性に与える影響、(2)ストックオプション付与が経営者のリスクテイクの程度に与える影響 である。 応用分析(1)では、アルゴリズム取引の活発度を表す尺度をデータベースから構築し、アルゴリズム取引がtightnessやdepthの観点から流動性を向上させるかについて分析を行った。分析の結果、アルゴリズム取引はtightnessの観点からすると、流動性を向上させるが、depthの観点からすると、その影響は軽微であることが示された。また、流動性の共通性に着目し分析を行った結果、アルゴリズム取引は流動性の共通性を減少させることに寄与することが明らかになった。 応用分析(2)では、データベースから日次のrealized volatilityを計算することで、ストックオプションが経営者に付与された前後でのリスクテイク態度に変化があったか検証した。分析の結果、ストックオプションの付与後でも経営者のリスクテイク態度に変化は生じないという、米国市場と対照的な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの効率的な可視化についての研究が若干遅れているものの、データベースを利用した複数の応用研究に取り組んでおり、研究計画はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
超高頻度データの可視化法に焦点を置き、重点的に研究を推進する予定である。これによって近年取引比率が増大しているアルゴリズム取引がどのような特徴を有しているのかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
超高頻度データベースを利用した応用研究が予想以上に進展しており、この応用研究の成果報告に利用する予定である。
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Research Products
(9 results)