2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653103
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲葉 陽二 日本大学, 法学部, 教授 (30366520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金光 淳 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (60414075)
北見 幸一 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (90455626)
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Keywords | 企業不祥事 / 企業統治 / 社会関係資本 / ソーシャル・キャピタル |
Research Abstract |
平成24年度は,(1)上場企業役員データベース作成,(2)企業不祥事研究会を実施した。 (1)データベース 2000年及び2010年における上場企業役員データベース作成した。このデータベースから,東証一部上場企業の社長と他の役員との年齢差を算出した。さらに,東証一部上場企業のROA,負債比率,売上高伸び率等の企業パフォーマンス指標を付加し,東証一部上場企業社長データベースを作成した。この社長データベースにより,社会関係資本を考慮した取締役会構成,社長の属性(年齢),企業パフォーマンス等の諸変数間の相関を算出した。データ量が膨大であるため,処理に当初の想定を超える時間を要したが,対象を東証一部上場企業に限ることにしてデータベースを作成し,社会関係資本からみた取締役会の凝集性指標を作成し,企業パフォーマンスとの相関を確認したこの結果をもとに,論文作成(印刷中)した。本研究の目的である,企業の凝集性と企業不祥事との関係について,役員会の凝集性,経営者の属性が企業パフォーマンスに及ぼす影響について分析した。この役員に関するデータベースのほか,2000年以降の企業不祥事データベースを新聞報道などをもとに作成中である。 (2)企業不祥事研究会 企業不祥事研究会を3回開催した。2012年5月22日,当該年度の研究方法についての打ち合わせを行なった。2012年12月5日,当該年度および来年度の具体的な研究方法等についての打ち合わせと,企業に関するデータ解析の進捗状況報告を行なった。2013年3月15日『組織不祥事―組織文化論による分析―』をテーマに専修大学経営学部・間嶋崇准教授に講演をしていただき,その後質疑応答を行なった。また,あわせて本研究に関する論文のドラフトを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,分析のために経営者と企業不祥事に関する2つの大規模なデータベースを作成する必要があり,当初の2年間はそのための基礎データの収集とデータベースの設計,データ入力を実施した。当初は新興市場,地方証券市場も含めて全上場企業を対象とし,1990年,2000年,2010年の3ヵ年についてのデータベースの構築を予定していたため,処理にほぼ1年9ヵ月を要したが,対象を東証1部上場企業に絞り,年次も2000年・2010年の両年に絞り,分析のためのデータベースをほぼ構築した。また,昨年度末までに,社会関係資本からみた取締役会の構成と企業パフォーマンスに関する分析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
東証一部上場企業について,完成済みの社長データベースと同内容の監査役と社長以外の取締役についても作成する。あわせて,企業不祥事データベースも完成させる。 昨年度末に社会関係資本からみた取締役会の構成と企業パフォーマンスに関する分析を開始しており,論文のドラフトを完成させており,本年度前半に学会報告,論文の発表を予定している。 分析について,具体的には,経営者に関するデータベースと企業不祥事のデータベースとを結合させ,企業不祥事における経営者の関与について,社会関係資本の観点から分析を実施する。また,このデータベースによる分析に先立ち,イトマン,西武鉄道,東京スタイルの3社について経営者と役員構成の経営パフォーマンスに対する影響のケース・スタディを実施する。有価証券報告書より,役員の状況,特に取締役社長とその他役員の関係性,株式保有率などを抽出し,分析を行なう。さらに,「社長の任期の長さ」を「企業不祥事からの自由度」の代理変数(従属変数)として役員年齢差を内的凝集性変数,ネットワーク変数を外的開放度変数として「独立変数」にし,企業業績変数をコントロール変数として重回帰分析を行なう。 このほか,企業不祥事研究者を講師として招き,企業不祥事研究会を開催する。なお,本研究の研究成果は論文の他,まとめて書籍として上梓する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費:上場企業組織及び役員データベースクリーニング,社会関係資本に基づく企業分類・分析,企業不祥事事例の資料・データ収集,役員データベースによるSPSS統計解析補助業務を行なう。 研究会開催費:企業不祥事研究会を開催する。識者を招へいして企業不祥事の事例,企業不祥事の現状,企業組織の問題点等について意見交換を行なう。研究会開催にあたり,講師謝金,交通費(必要であれば宿泊費),会議費を支出予定である。 旅費:第33回サンベルト国際社会ネットワーク分析学会(XXXIII Sunbelt Social Networks Conference of the International Network for Social Network Analysis (INSNA), 21-26 May 2013, in Hamburg (Germany))において,interlocking directorateの部会での報告のため計上。
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