2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653103
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲葉 陽二 日本大学, 法学部, 教授 (30366520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金光 淳 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (60414075)
北見 幸一 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (90455626) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 企業不祥事 / 社会関係資本 / ソーシャル・キャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
東証一部上場企業の業績をソーシャル・キャピタルの観点からとらえた取締役会の構成の観点から分析した。監査役も含めた取締役会メンバーの生え抜き度を企業の閉鎖性,社長と他の役員との年齢差と社長の在任期間を企業の凝集性の代理変数とした。生え抜き度が高く閉鎖性が高い企業ほど売り上げからみた成長率が低かったが,社長と他の役員との年齢差が広がり,在任期間が長いという意味で凝集性が高い企業ほど業績はよかった。ただし,凝集性が高いと企業の付加価値(主に利益と人件費)率は低下傾向がみられるので,業績のよさは労働者の賃金の削減に起因する部分がある。また,社長の年齢が上がると業績は低下するので,凝集性が常に業績にプラスにはたらくかについては,より綿密な検証を必要とする。 また,上記のほか,ケース・スタディとしてカネボウ,イトマン,西武鉄道,東京スタイルの4社についてワンマン経営者が実験を握った期間の業績(ROA,自己資本比率)と,取締役会における社長と他の構成員の年齢差,役員のなかでの社長の株式保有比率との相関を見た。どのケースでも,取締役会でワンマン経営者の取締役会における社長と他の構成員の年齢差,役員のなかでの社長の株式保有比率が上がるにしたがい,ROAと自己資本比率が低下していた。つまり,当該経営者を中心とした凝集性と権力の集中度が高まるほど,企業の収益性と安定性は低下する傾向がみられた。
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