2012 Fiscal Year Research-status Report
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23653108
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
江戸 克栄 文化学園大学, 服装学部, 准教授 (80318592)
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Keywords | 定性調査 / 写真分析 / サンプル抽出 / ピクチャマイニング / 商品開発 |
Research Abstract |
当初研究計画は、平成24年度にはピクチャマイニングの方法論研究の中で「分析手法に関する研究」であった。収集されたピクチャを分析するに際して、主観的評価を排除するための方法、探索的分析として定性調査にどのような発展可能性があるのかを既存の統計的分析手法との関係を比較し研究する予定であった。平成24年度はこの当初計画を進めつつ、平成23年度の研究からわかってきた「サンプリング・データ収集」の課題に関する研究を行った。 そのため、引き続き「かっこいいクールビズ」に関する写真回答調査を実施し、ピクチャマイニング技法を用いて分析を行った。サンプルエラー(回答された写真が指示通りになっていないものや写真解像度が極端に低いもの)を避けるための指示の工夫を行った結果、エラーは減少し、一定の成果が出た。また、ピクチャマイニング技法を用いてかっこいいクールビズの条件を抽出した。この研究については、口頭と論文として発表した。 「サンプリング・データ収集」の研究として、回答者の属性、写真による例示の比較研究も行った。上述の調査は、インターネットモニターを用いた比較的オープンな形で回答者を募集したので、得られる回答の質にばらつきがあったことから、異なった回答者属性で、かつ若干クローズドな募集との比較をした。同時に例示した写真の影響についても測定するべく実験的な調査を行った。写真の品質については、クローズドな調査はエラーは少なく、信頼性が高いといえる。例示した写真の影響については有意な差はみられなかった。平成25年度以降も継続して、これらのピクチャマイニングの方法論的研究が必要であることがわかった。 探索的分析として定性調査の発展可能性については、商品開発におけるその有効性について研究を行った。企業と合同のワークショップを行い、ピクチャマイニング技法を用いて商品コンセプト開発のための有用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度からの継続的課題であった「サンプリング・データ収集」に関する研究、平成24年度の研究課題である「分析手法に関する研究」についての大部分のテーマについて研究着手し、成果を上げることができた。特に、探索的分析としての発展可能性については大きな成果があった。ただし、収集されたピクチャの主観的評価を排除するための方法についての研究が不十分であり、平成25年度以降に実施していかなければならない。また、「サンプリング・データ収集」に関する研究でもさらなる課題が出てきており、これらを解決するためのピクチャマイニングの方法論研究を継続的に行う必要性があることが明らかとなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究のうち「分析手法に関する研究」が若干遅れていること、また「サンプリング・データ収集に関する研究」において新たなる課題が浮上していることから、若干の研究計画の変更が求められている。平成25年度の研究テーマは「ピクチャマイニングの拡張研究」であり、「定量的ピクチャマイニングへの拡張研究」と「大規模ピクチャデータを用いた定性的分析」を行う予定だった。現在の定性的ピクチャマイニングでも方法論や分析方法に研究において課題があり、これを解決しない限り定量的ピクチャマイニングの研究を行うことは困難である。そのため、平成25年度は、 1)ピクチャマイニングの方法論的研究(「サンプリング・データ収集に関する研究」と「分析手法に関する研究」の継続とその研究成果の発表) 2)大規模ピクチャデータを用いた定性的分析(大量画像データのピクチャマイニング分析のための研究を行う) を中心に行うものとし、「定量的ピクチャマイニングへの拡張研究」については平成26年度以降に実施できるように、そのための研究準備を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ピクチャマイニングの方法論的研究について、国内に限定することなく、国外での研究発表や議論の必要性がでてきた。特に主観的評価を排除するための研究では、分析者を取り巻く社会環境や文化環境の影響を十分に考慮しなければならないことがわかってきた。そのため、1)国際的学会での研究報告による議論、2)リサーチや情報処理を主研究領域とする外国研究者との共同研究を十分にしていく予定である。 方法論的研究のために、平成25年度も調査を実施する予定である。インターネット調査によりサンプル・データ収集のための研究を行うと同時に、大量画像データのピクチャマイニングのための研究を行っていく。 平成25年度の研究費の計画は、合計1,508千円で、内訳は、物品費30千円(資料、書籍、消耗品等)、旅費760千円(国際学会発表250千円、外国人研究者との共同研究のためのディスカッション480千円、国内旅費30千円)、人件費・謝金30千円、その他688千円(インターネット調査600千円、学会参加費80千円、その他8千円)の予定である。
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