2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバル企業における社会責任報告と財務報告との統合化研究
Project/Area Number |
23653112
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
淺田 孝幸 立命館大学, 経営学部, 教授 (10143132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 一頼 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (50142831)
鈴木 研一 明治大学, 経営学部, 教授 (80309674)
松本 有二 静岡産業大学, 情報学部, 教授 (30387518)
福重 八恵 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (10581853)
金 宰ウク 広島大学, 社会(科)学研究科, 講師 (50599264)
|
Keywords | 社会責任報告 / 統合報告戦略 / 環境経営 |
Research Abstract |
本年度の主な成果としては、淺田孝幸「統合的報告の意義と課題」『オイコノミカ』大49巻第2号、20-38頁、を発表した。内容としては、統合報告への具体的な動きとして、企業の業務活動のなかに、社会活動と営利活動との融合化の流れが、世界的レベルでは、観察されること。また、星野(2003)、渡辺修朗・安田直樹(2011)、Porter.Kramer(2002)(2006)(2011)の論考のとおり、世界の潮流は、すでに、利益マネジメント・社会マネジメントの統合を意識した経営に有力な企業は舵をきり、日本でも一部大手の製薬・精密機器企業では、それを意識した経営方法と統合報告を開示する方向に進捗しつつあることを明らかにされている、窪田真之(2012)。本研究では、その流れについて、現在、鈴木・キム・福重において、質問表の作成をめざす研究打ち合わせをおこったきた。 上記の代表研究者の活動の他に、中村正伸・松岡孝介・鈴木研一「Project&Program Budgetingの有効性の考察」『戦略経営ジャーナル』、第1巻第2号、137-151頁、202年5月において、関連するマネジメント方法論としてのプログラム予算による経営革新について、業績報告をおこなっている。また、関連研究として、淺田孝幸「企業統治と管理会計」、20-38頁、『ビジネスの発見と創造』ミネルバ書房、2012年11月を発表しており、ここでは、ガバナンスの仕組みの柔軟な設計方法一端を紹介しており、そのなかで、管理会計の運用が果たす統治への貢献を指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
萌芽的研究の最終年度において、この研究を基礎に基盤研究Bへの申請を行うことができ、本格的な研究の流れを一応、形成することができた。 すなわち、社会責任開示・財務報告・環境責任報告の3つの報告書を統合する動きが確実になり、2013年4月においては、IIRC(国際統合報告委員会)が、国際機関等からの意見を元に公開草案を公表し、新たなレベルになったこと。この動きを押さえながら、日本における統合報告実践とグローバル企業活動を進めるうえでの、産業・企業政策の課題と企業間ネットワークとしての戦略との関係を研究するという新たなテーマを発掘する端緒となったことにある。 ただ、研究者6名による総合的な成果という点では、十分なシナジーを生み出すにいたっておらず、個人の単発的な成果に終わっており、このあたりの研究活動の総合化・融合化と成果の発表に必要な実態調査を今年の課題として完了したいと考えている。そのために、年度中に、アンケート調査などの実態調査を別途予算により行い、最終年度としての成果をあげる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基盤研究Bとして、発展的に行うことが確定した。具体的には、クラスター産業研究と拡張的な統合報告への戦略的な試みをおこなっている企業グループを対象にしたアンケート調査ならびに、ケース研究を行う予定である。ケース研究を通じて、社会的責任経営の新しい方法論・戦略とそれがもたらす、産業間・企業間ネットワークの成果あるいは、資本コスト・格付けなどの信用リスクへの影響を明らかにしていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究テーマについては、主に旅費等で使用するが、一部は、調査表の質問表などの作成費用としても利用予定である。 なお、未使用額が発生した場合には、連絡を密にして、解消するように努力する。
|