2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653114
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
福井 義高 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (40322987)
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Keywords | 財務会計 |
Research Abstract |
米国を中心として、会計研究は規範論から実証分析に基づく経験科学への変貌を遂げたとされ、日本の会計研究者もその後を追おうとしている。しかし、その模範と仰ぐ米国では、近年、指導的立場にあると目される少なからぬ研究者が、自立した学問としての会計学の存在意義に対する危惧を表明する事態となっている。本研究は、物理学や経済学など、より「高級」とされる学問分野が会計的思考によって貫かれていることを明らかにしつつ、諸学とくに経済学の応用の場としての会計研究ではなく、社会現象解明のための基礎学問としての会計学に如何なる可能性があるかを探求した。 世界の会計研究をリードする米国においても、会計学会(AAA)年次総会で研究のルーティン化・矮小化が頻繁に論題として取り上げられるなど、会計という学問の基礎を問う傾向が強まっている。そこで、本研究ではこれまで進めてきたメタ会計学といえる視点を継続発展させ、自然科学および社会科学の根底に存在する会計的思考の重要性を念頭において、新たな会計研究の可能性を追求し、一定の成果を得た。 最終年度においては、会計的思考を根底に持つ経済学の知見を利用するという観点からの会計現象理解を目指した、研究者のみならず実務家も念頭においた連載を会計専門誌(月刊)において開始した。また、予算制約式すなわち会計恒等式の論理的帰結ともいえるFiscal Theory of the Price Levelの財政金融政策における決定的重要性や、2013年ノーベル経済学賞授賞理由のひとつでもある会計情報が資産価格モデルに重要な役割を果たす点に関して、東京大学金融教育研究センターの研究会において三度報告した。
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