2013 Fiscal Year Annual Research Report
在宅医療文化のビデオエスノグラフィー-生活と医療の相互浸透関係の探求
Project/Area Number |
23653125
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
樫田 美雄 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (10282295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 英樹 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00378217)
堀田 裕子 愛知学泉大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (10712226)
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Keywords | 在宅医療 / ALS患者 / 病いの語り / がん告知 / ビデオエスノグラフィー / エスノメソドロジー / 会話分析 / QOL |
Research Abstract |
=研究対象= 中部地区のフィールドXに集中的に補充調査に入り、探求を深めた。具体的には、代表研究者が本務校を移動した(徳島大学→神戸市看護大学)ことに伴って、日帰りの調査が可能になったため、毎週火曜日の「訪問診療」に連続して同行することで、被調査者との信頼を深め、長時間の連続撮影や、長時間の家族介護者インタビューに成功した。主たる調査対象として、(1)「障害者支援等を活用しながら、おもてなし対象として訪問介護者等を迎え入れることで、QOLの高い生活を維持しているALS患者」、(2)「近隣家族と同居家族から介護を受けている末期がん患者」、(3)「男性同居親族=長男=から介護を受けている長期療養患者」の3件の在宅医療現場が集中的に訪問され、インタビューされ、ビデオ撮影され、研究会において検討された。 =研究の成果= (1)ALS患者のQOL維持策としてなされている諸工夫の確認をおこなった。胃瘻栄養にかかる時間を減らすための、半固形の栄養剤の処方方針について担当栄養士にインタビューを行い、実際に使われている栄養剤を確認した。 (2)がん患者への「告知」に関して、家族から、貴重な意見が得られた。すなわち、積極的治療をしない方針であることの告知によって、告知以前に可能だったコミュニケーションスタイル(患者に対する攻撃や疎遠さの演出)を取ることが困難になって、習慣が崩れた&患者家族側で感情を抱え込む必要が生じた、という主張が、介護をになっている次男から真摯になされた。 (3)総じて、在宅医療現場において起きていることの複雑さが、予想以上のものであることが判明した。在宅医療においては、患者当事者・家族において「医療的関心が生活の軸になること」や、医療者・介護者において「患者の希望の達成が医療・介護の主要な関心になること」が起きていた。また、薬や旅行や音楽が媒介するコミュニケーションも確認された。
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