2011 Fiscal Year Research-status Report
業務のコンピュータ化に伴う隠れた労働の可視化に向けたワークプレースの相互行為分析
Project/Area Number |
23653137
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
山崎 晶子 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (00325896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 敬一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80191261)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ワークプレース研究 / エスノメソドロジー / 相互行為分析 / エスノグラフィー / コンピュータ化 |
Research Abstract |
現在、多くの企業では、IT技術の進化と経営のスリム化の為に、コンピュータシステム(基幹業務システム)を導入し、従来庶務課が行っていた比較的専門性の低い業務を社員に割り当て、主要業務の傍ら社内のサーバーにアクセスし個別に入力処理をさせるようにしている。こうしたコンピュータシステムの導入は、労働の編成を変更し、人々の相互行為や働き方を変えている。しかし、コンピュータシステムを媒介することにより、定義されない「隠れた」労働がうまれている。本研究は、その隠れた労働を明らかにすることを目的としている。 そのために、本年度は、ワークプレース研究をするためのネゴシエーションを行った。何度も打ち合わせを重ね、研究会を重ねた結果、来年度からのフィールドワークを行うことができる場所を確保した。また、企業のワークプレースとの比較を行うために、企業とは異なる働き方を探求する組織での会議場面の録画の分析を進めている。この分析の結果、会議における話題の移り変わりや、中断や再会のありかたを、記録(記憶)という側面に注目し、合議と記録のありかたを分析した。 会議場面を記録(記憶)と出席者の入れ替わりから分析を行うことによって、本研究によって明らかにしようとした労働の編成、断片化と統合のありかたを、企業におけるワークプレースではないが明らかにすることができた。 また、ミュージアムや高齢者施設といった、イギリスの研究者がワークプレース研究を行っているフィールドでのデータを、ワークプレース研究の視点で分析をしなおした。 本研究の意義は他にもある。ワークプレースをビデオ撮影し、それを詳細に相互行為分析を行うことである。それによって、労働の実態を明らかにし、会議場面のような一見すると業務のコンピュータ化とは関連がみえないことが、それぞれに関連することを明らかにできるのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大震災とそれに伴う節電のため、エスノグラフィーをうけていれてくださった企業の体制が平常時に戻らず、エスノグラフィーを受け入れて下さるように交渉する時期が、6ヶ月延期した。交渉し、エスノグラフィーのうけいれが決定したのは、年度末であった。ただし、既に、データをとってある会議の分析や、高齢者施設やミュージアムのワークプレース分析は行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は、エスノグラフィーを受けれてくださる企業の体制が整わなかったため、24年度には23年度に計画していたエスノグラフィーを行い、企業側とも協力して分析を進める。また、比較するために、様々な会議場面の分析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度には、エスノグラフィーを行う計画がうまく行かなかった。そのために、エスノグラフィーに関わる諸経費(エスノグラフィーを行う学生への謝金、デジタルデータ化や、カメラなどの物品費、交通費)などが持ち越しになった。24年度には、23年度に計画したエスノグラフィーを行う。そして、他のデータとの比較を行う。それに加えて、様々な研究者の知見を聞き、データを共同検討を行うために、共同検討会への参加や、学会などへの参加を行う。
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Research Products
(2 results)