2012 Fiscal Year Research-status Report
クライミングにおける視覚障害者とのコミュニケーションの多様性に関する研究
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23653147
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 祐司 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (80182210)
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Keywords | クライミング / 視覚障害 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は、ロッククライミングという非日常的活動の場で視覚障害者と晴眼者がともにロッククライミングを学び楽しむ場を提供するNPO活動を中心に参与観察による調査を行い、視覚障害者同士、および視覚障害者と晴眼者が、クライミングを行う際に取るコミュニケーションの諸相を記述・分析することで、非言語的コミュニケーション(身振り、まなざし等)が制限された環境における言語的 コミュニケーションの限界を明らかにするとともに、現場での工夫による視覚障害者と晴眼者との多様なコミュニケーションの可能性を発見し障害者福祉に貢献することにある。 平成24年度は、視覚障害者に関する文献調査と一般の登山者やクライマーに対する聞き取り調査による意識調査のデータ収集をおこなうとともに、関西地区および東京におけるアウトドアショップ等において、障害者のアウトドア活動への参加についての実情についての聞き込み調査を行った。 質的データの収集により、ボランティア活動による「無償」の援助とクライミングスクールや山岳ガイドなどの「有償」のサービスとのそれぞれに対する肯定的/否定的意識が、障害者と健常者それぞれに内在し、障害者がアウトドア活動に参加する際の実際的な軋轢の原因になっている可能性があることが判明した。本研究開始時に想定していた視覚障害者と晴眼者との表層的コミュニケーションの深層部にあるコンフリクトの原因として今後の研究方向の修正が必要となった。また、調査フィールドを見直し、ボランティア活動や山岳会等のサークル活動による障害者のアウトドア参加の実情についても調査する必要があり、今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献調査、および予備的調査により、対象とする調査フィールドをクライミングスクールに限定せず、ボランティアによるサークル活動や山岳会等による障害者アウトドアスポーツについても調査の幅を広げる必要があることがわかり、平成24年度は今後の集中的な調査を行うための準備期間として交渉等の実務に専念したため、実質調査については最終年度に譲ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、関西圏の障害者登山サークル、山岳会、クライミングスクールなどの活動を中心にフィールド調査を行うとともに、関東、中部山岳地帯などでの障害者アウトドアに関する諸活動についても調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査範囲の拡大の必要が生じ調査がやや遅れたため繰り越した平成25年度使用額については、関東地方での視覚障害者クライミングスクールの定期的フィールド調査、関西圏、中部山岳地帯を中心に山岳会やアウトドアサークル等によって行われている障害者のアウトドア活動、および施設等の整備状況についての調査に補てんし、平成25年度配分額と合わせて、フィールド調査に重点的に使用する予定である。また、今後の継続的研究のために、障害者のアウトドア活動に関連する文献を整備するための文献購入にも使用する。
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