2013 Fiscal Year Annual Research Report
生活困窮者の参加型コミュニティ開発に関する実証・実践研究
Project/Area Number |
23653158
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
岡本 菜穂子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (30553565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
グライナー 智恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (20305270)
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Keywords | 住民主体 / 参加型学習 / コミュニティ開発 / 生活困窮者 |
Research Abstract |
ホームレス状態に置かれている人々の実情から支援する側は様々な取り組みを行ってきている。支援により再定住化を果たした元路上生活者は新たな生活拠点において、新たなコミュニティを形成する必要がある。しかしながら、彼らが既存の地域コミュニティに入るには様々な障壁があり、私たちは彼ら自身の居場所と生きがいづくりを彼らが主役となって実践するプロジェクトを行った。本プロジェクトでは、元路上生活者の居場所・生きがいづくりを彼らの主体的行動に焦点を当てて実践し、他にも同様の事例も含めて社会のあるべき姿として提言する。 <プロジェクトの概要>東京都内で長年生活困窮者を支援している1カ所のNPOにて、元路上生活者8名をプロジェクト協力者として、2013年1月より週1回定例会議を継続実施してきた。ファシリテータ役1名(研究者)と8名の協力者が、共に自分たちの強みや弱み、自分たちのできそうなことを探し共有しながら、毎日顔を見せる仲間達の役に立つ業(施設共有部分を輪番制で清掃、簡易引っ越し作業)を行なってきている。プロジェクト協力者8名を中心として、NPOに集まる仲間たちは毎日、作業の有無にかかわらず、そこにいることを咎められることなく、自然体で時間を過ごせ、楽しみながらその場所にいられる空間が形成されている。彼らは生活保護等何らかの福祉支援を受けている側であるが、支援を受ける受け身の姿勢から脱却し、自ら主体的に行動するという意識が再生されてきている。この意識の変革は、他人による強制によるものではなく、無意識に進展してきている。このような方向へ進むような支援のあり方は、今後彼らが再路上化を防ぐ鍵になるのではないかと考える。
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