2011 Fiscal Year Research-status Report
地域における権利擁護システム構築に貢献する市民後見人の役割に関する研究
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23653159
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
金井 守 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (90382572)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 権利擁護 / 権利擁護システム / 市民後見人 / 後見支援組織 |
Research Abstract |
1.ドイツにおける名誉職世話人に関する調査の実施(2011年9月)目的:ドイツにおける名誉職世話人(ボランティア世話人)の現状やその役割を把握し、日本における市民後見人のあり方に関し示唆を得ること。訪問先は、「デッケンドルフ郡世話役所」、「同世話協会」、「同後見裁判所」、「カリタス協会世話社団」であった。成果:ドイツにおける名誉職世話人の確保・活動支援に関する調査により、市民が世話活動へ積極的に参加し、また、市民による世話活動を支援する組織の存在とその支援体制ができている状況を確認できた。これにより、日本における市民後見人養成や活動支援のあり方を検討する上で、成年後見活動に対する市民の参加を促進すること、市民による後見活動を支援する機能が求められそのための組織(後見支援組織)が必要であることなど重要な示唆を得ることができた。 ドイツ調査では、この他、世話に関わる専門の部署(世話署)を設け、行政が積極的に世話制度に関わっていること、後見裁判所・世話署・世話協会が司法・行政・民間それぞれの立場から役割を持ち世話制度の定着・普及に向けて三位一体の協力体制を採っていることを知り日本への示唆を得た。2.権利擁護・虐待防止セミナー(2012年2月)における各地の社会福祉協議会による法人後見や市民後見人活用に向けた取組みの報告と討議を通して、社協の市民後見人活用に向けた取組みに関する現状と課題を把握できた。さらに、ユニットケア全国実践者セミナー(2012年3月)における全国のユニットケア施設からの実践報告と質疑を通して、市民後見人が活用する重要な社会資源の意義について理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツにおける現地調査では、名誉職世話人の確保・活動支援の実情を把握し、名誉職世話人の意義、その活動支援組織の役割を理解することができて、期待通りの成果を得ることができた。EUの状況については、文献による調査にとどまったが、EU数カ国の状況を把握することができた。日本における市民後見人および後見支援組織の活動状況の調査を前倒しして実施する予定であったが、次年度に集中して実施することとした。他方、セミナー参加を通して各地域の状況を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査から得られた日本への示唆を踏まえ、今年度実施予定分を含む日本各地(全国12か所程度)の後見支援組織を訪問し、支援組織担当者および市民後見人に対するインタビューを含む調査を実施し、市民後見人制度導入の意義、市民後見人を支える支援組織(市町村における後見実施機関)の必要性と役割を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度先行して実施予定であった国内後見支援組織の調査を次年度分と合わせ次年度に集中して実施することとした。北海道から九州までの様々なタイプの後見支援組織の調査を順次実施していく。また、国際学会において研究成果を発表する当初からの計画を実施する。
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Research Products
(2 results)